「ムドル、これはなんのつもりだ?」

 そう問われムドルさんは、ベルべスクを睨む。

「それは、私の言う台詞です。厄災を人為的に起こして国を滅ぼそうなど、どういうつもりですか?」

「厄災……何のことだ? オレは……ただ、偶々ここに居て……あーいや……」

 そうベルべスクが言いかけるとムドルさんは更に睨みみる。グレイもベルべスクを睨んでいた。


 もしかして二人共、私のことで怒ってるの?


 そう思い嬉しくなる。

「みたことは許せませんが……。そのことを今、責めている時間はない。厄災のことは、だいたい分かっていますので。お前にはやってもらいたいことがあります」

「何をやらせるつもりだ?」

「簡単なことです。偽情報を、お前の上司シュウゼルに流して頂くだけのこと」

 強い口調でムドルさんがそう言う。

「偽情報……なんのだ?」

「勿論、お前がこの町でやっていたことをですよ」

「オレが何をしたって? そもそも、どこにその証拠がある!」

 それを聞いたムドルさんは、ベルべスクの胸倉を掴んだ。

「証拠か……ああ、勿論ある」

「あるなら、みせろ。それとも……」

 そう言いながらもベルべスクは、明らかにムドルさんから目を逸らし怯えている。

「証拠ですか。出してもいいですが……」

 ムドルさんはそう言いベルべスクの顔の右側スレスレの壁を右拳で殴った。見事に壁は、その部分だけ破壊される。

「ヒィッ! 分かった……お前が本気になったら、オレの命がなくなる」

「それが分かっているなら、私のことを怒らせないでください」

「ああ……だが、命の保証はしてくれるんだろうな。シュウゼル様に嘘の情報を流すってことは……」

 ベルべスクはそう言い顔中から汗がダラダラ流れ落ちた。

「裏切ることになる。それだけじゃない、お前の命もなくなる訳だ。だが、私が保証してやる義理はないのですけれど。さて、どうしましょうか」

 そう言いながらムドルさんは、私たちの方に視線を向ける。

「保障か。俺は、ソイツになんの義理もない。決めるのはムドル、お前に任せる」

「妾もムドルに任せるのじゃ」

「うむ、私にはそれを決める権利などない」

 そう三人が言い私は、考えたあと頷いた。

「私も、ムドルさんに任せます!」

「分かりました。それでは、私の一存で進めたいと思います」

「ムドル、その顔は……何をするつもりだ!」

 それを聞きムドルさんは、ニヤリと笑い口を開く。

「いえ、何もするつもりはありません。そうですね……条件付きで、お前の命の保証をしようか」

「条件付き? ……分かった。だが、どうすればいい」

「簡単ですよ。ルイさんに謝罪してください。そしてこれから先、私たちの言う事を聞いて頂きます」

 そう言われベルべスクは、悩んでいるみたいだ。

「謝罪……もしかして、あの人間の……」

 ベルべスクはそう言い私の方をみるなり、タラリと鼻血を垂らした。

 それをみたムドルさんとグレイは、ベルべスクの顔を同時に殴る。

 私はベルべスクだけじゃなくグレイとムドルさんにも、自分の裸をみられたことを思い出す。

 そして私は恥ずかしくなり、頭を抱え(うずくま)った。