ここは、スイラジュンムの遥か上空にある、スイクラムが住まう天空城である。
スイクラムは、苦虫を噛み潰したような表情で、宙に浮かぶ水晶を見ていた。そこには、美鈴の方へ向かうファルスの姿が映っている。
(あの者は……いったい……。そもそもなぜネツオン大陸にいるのでしょうか? まぁ、そのことは後で調べるとして。
あの者が美鈴のことを回復させる前に何とかしなくては……)
何かを思いついたスイクラムは、ニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
「ドラバルトはファルスを見ていて、美鈴を視野に入れていない。……まあ、あとで厄介になる可能性はあるとしても……今やるべきよね」
そう考えをまとめると、宙に浮かぶ水晶に両手をかざしながら神語で詠唱する。すると、両手に魔力が集まり始めた。
「クスッ、今度こそ終わりよっ!」
魔力が集まり、魔法陣が描かれる。そして、宙に浮く水晶に映る美鈴に目掛け転移の魔法を放った。
場所は変わり、ここはドラギドラスの洞窟。
その頃、ファルスは美鈴の方に向かっていた。しかし、その時スイクラムが放った魔法に気づき振り返る。
すると、すかさず向かってくる転移の魔法に照準を合わせ、右手を斜め上に掲げた。それと同時に、小声で神語を詠唱し、即座に異空間の黒穴を作る。
その異空間の黒穴にスイクラムが放った魔法が吸い込まれた。そして転移の魔法は、ネツオン大陸にある大岩に当たる。
その後、その大岩はリアン大陸の大きな湖ビーズスイムにバシャンと大きな音を立てて落下した。
(スイクラム、なんのためにこんなことを? 先程、ある程度のことは聞いていた。だが、なぜここまでこの美鈴に執着する?
……しかし、どんなことであっても。流石に、これを見過ごすことはできないな)
異空間の黒穴が閉じるのを確認したファルスは、畳み掛けるように素早く小声で神語を詠唱する。
すると、再び異空間の黒穴を作り、その状態で拘束の魔法【神秘の鎖】をスイクラムに向けて放った。
時間は少し遡り、場所はスイクラムが住まう天空城に戻る。
「これで終わりね、ダサ女。あの湖に落ち……。これはどういうこと!? なぜ妾の魔法が……」
自分の転移魔法がファルスの作り出した異空間の黒穴に吸い込まれていくのを見て、驚きのあまり顔を歪め引きつらせた。
「信じられませんっ!……ですが、所詮はヒューマン。偶然……ですわよね」
そう言い放つと再び詠唱しようとする。とその時、スイクラムの目の前に魔法陣が展開され、異空間の黒穴が現れた。
それに気づくも時すでに遅し、その黒穴からファルスが放った魔法が現れ、魔法陣が描かれる。
そして同時に、魔法陣から光り輝く透き通った鎖が現れた。その鎖は、スイクラムを即座に捕え拘束する。
「クッ、」
スイクラムは悔しそうな表情を浮かべた。その後、ファルスが何者なのか疑問視した。
(悔しい……ですが、いったい何者? 神に匹敵する者……そうなると、魔王か、他の世界の神。いいえ、他の世界に関与すればしばらくは自分の世界に帰れない。
そこまでする神が……まったく、いないこともありませんが。自ら他世界に来るとも思えません。あとは、神に仕える者と考えられます。そうだとして……誰が?)
そう悩んでいると、ふと自分宛てにメッセージが届いていることを思い出す。すると、意識を集中させ後ろに追いやったメッセージを自分の目の前に移動させた。
そのメッセージを読んだスイクラムは顔面蒼白になる。
「これは、ファイグから……それも、召集命令……」
そう言い、ガクッと肩を落とした。
(まさか、あのファルスはファイグと関わりがある者。そうだとしたら、今回の件をゼルウナス様に報告されてしまう。
それだけは阻止したい。ですが、身動きできないこの状態では何もできません。このままでは……どうしたら?)
スイクラムは、苦虫を噛み潰したような表情で、宙に浮かぶ水晶を見ていた。そこには、美鈴の方へ向かうファルスの姿が映っている。
(あの者は……いったい……。そもそもなぜネツオン大陸にいるのでしょうか? まぁ、そのことは後で調べるとして。
あの者が美鈴のことを回復させる前に何とかしなくては……)
何かを思いついたスイクラムは、ニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
「ドラバルトはファルスを見ていて、美鈴を視野に入れていない。……まあ、あとで厄介になる可能性はあるとしても……今やるべきよね」
そう考えをまとめると、宙に浮かぶ水晶に両手をかざしながら神語で詠唱する。すると、両手に魔力が集まり始めた。
「クスッ、今度こそ終わりよっ!」
魔力が集まり、魔法陣が描かれる。そして、宙に浮く水晶に映る美鈴に目掛け転移の魔法を放った。
場所は変わり、ここはドラギドラスの洞窟。
その頃、ファルスは美鈴の方に向かっていた。しかし、その時スイクラムが放った魔法に気づき振り返る。
すると、すかさず向かってくる転移の魔法に照準を合わせ、右手を斜め上に掲げた。それと同時に、小声で神語を詠唱し、即座に異空間の黒穴を作る。
その異空間の黒穴にスイクラムが放った魔法が吸い込まれた。そして転移の魔法は、ネツオン大陸にある大岩に当たる。
その後、その大岩はリアン大陸の大きな湖ビーズスイムにバシャンと大きな音を立てて落下した。
(スイクラム、なんのためにこんなことを? 先程、ある程度のことは聞いていた。だが、なぜここまでこの美鈴に執着する?
……しかし、どんなことであっても。流石に、これを見過ごすことはできないな)
異空間の黒穴が閉じるのを確認したファルスは、畳み掛けるように素早く小声で神語を詠唱する。
すると、再び異空間の黒穴を作り、その状態で拘束の魔法【神秘の鎖】をスイクラムに向けて放った。
時間は少し遡り、場所はスイクラムが住まう天空城に戻る。
「これで終わりね、ダサ女。あの湖に落ち……。これはどういうこと!? なぜ妾の魔法が……」
自分の転移魔法がファルスの作り出した異空間の黒穴に吸い込まれていくのを見て、驚きのあまり顔を歪め引きつらせた。
「信じられませんっ!……ですが、所詮はヒューマン。偶然……ですわよね」
そう言い放つと再び詠唱しようとする。とその時、スイクラムの目の前に魔法陣が展開され、異空間の黒穴が現れた。
それに気づくも時すでに遅し、その黒穴からファルスが放った魔法が現れ、魔法陣が描かれる。
そして同時に、魔法陣から光り輝く透き通った鎖が現れた。その鎖は、スイクラムを即座に捕え拘束する。
「クッ、」
スイクラムは悔しそうな表情を浮かべた。その後、ファルスが何者なのか疑問視した。
(悔しい……ですが、いったい何者? 神に匹敵する者……そうなると、魔王か、他の世界の神。いいえ、他の世界に関与すればしばらくは自分の世界に帰れない。
そこまでする神が……まったく、いないこともありませんが。自ら他世界に来るとも思えません。あとは、神に仕える者と考えられます。そうだとして……誰が?)
そう悩んでいると、ふと自分宛てにメッセージが届いていることを思い出す。すると、意識を集中させ後ろに追いやったメッセージを自分の目の前に移動させた。
そのメッセージを読んだスイクラムは顔面蒼白になる。
「これは、ファイグから……それも、召集命令……」
そう言い、ガクッと肩を落とした。
(まさか、あのファルスはファイグと関わりがある者。そうだとしたら、今回の件をゼルウナス様に報告されてしまう。
それだけは阻止したい。ですが、身動きできないこの状態では何もできません。このままでは……どうしたら?)