ここはドラギドラスの洞窟。
あれから美鈴たちは封印を解くため洞窟の出入口に来ていた。
「この岩の扉にかけられた術を解除すればいいんだよね」
それを聞きミィレインとドラギドラスとマグドラスはコクリと頷く。
唾をゴクリと飲み込むと美鈴は、扉をみつめ下から上へと目線を移動した。
(……封印を解けば、ここから出られる。大丈夫、だよね……)
そう思いながら岩の扉に手を翳す。その後、瞼を閉じ大きく息を吸うと目を見開き手元に視線を送る。
《解っ!!》
そう言い放つと岩戸全体が激しく光った。その直後、轟々と地鳴りがしグラグラ揺れ始める。
その地鳴りと揺れはしばらく続いた。その後、岩戸全体から放たれた光が消えると揺れも治まる。
するとそこに何もなかったかのように、スッと岩戸が消えた。
それと同時に、ビューっと外からの熱風が出入口を通り中に入ってくる。
「ちょ!? アツ……」
美鈴は余りにも熱かったため、それ以上なんにも言えず、バタンとそのまま地面に倒れた。
それをみたミィレインは倒れている美鈴の顔の側まで来て覗き込む。
ドラバルトもまた大丈夫なのかと心配に思い美鈴を覗きみた。
「ミスズ、どうした? なぜ倒れたのだ」
「ドラバルト様。もしかすると、外気と洞窟内の熱さに耐えられなかったのでは?」
そうマグドラスが言うとミィレインは、外の様子をみるため飛び立ち洞窟を出る。
__それから数十秒後、戻って来た。
再びミィレインは、美鈴の側までくる。
「なるほどね、そういう事か。ここはネツオン大陸だから暑いを通り越して熱いわけかぁ」
「まさか、そのせいで倒れたのか?」
そうドラバルトに問われミィレインはウンと頷いた。
「そうなると美鈴には、熱耐性がないという事だな」
「ううん、それはちょっと違うかな。さっきミスズを見た時、熱耐性は強化されてたけど。空腹ってステータス画面に書いてあったわよ」
「そういう理由か。そう言えば昨晩から何も食べていなかった。となると食料を調達する必要があるな」
そう言いながらドラバルトは出入口へと視線を向ける。
「ですがドラバルト様、ヒューマン……いや、異世界の勇者が食べられる物がこの地にはないと思いますが?」
「ウム、確かにな。今のミスズの状態をみる限り脱水も起こしておる。そうなると水も必要だろうな」
「水なら大丈夫。アタシが出せるから、ただ何か入れる容器があるといいんだけど」
そう言われドラバルトは、何かめぼしい物がないかと、異空間の収納ケースを漁ってみた。
__数分後、現在ドラバルトのアイテムや装備品などが周囲に散乱している状態である。
ドラバルトは、ようやく水を入れられそうな器をみつけた。
「……これなら、水を入れることができる。それに、飲ますことも可能だ」
そう言いドラバルトは、木の器を手に持ちミィレインとマグドラスにみせる。
__その木の器は、お椀のような形だ。だが、それよりも小さくって縁の一部に溝がある。
それをみたミィレインは、木の器に視線を向け嬉しそうにニカッと笑った。
「中々いい器ね。もしかして、これ薬を調合する時に使う容器じゃニャいの。それも木ってことは、相当な年代もののはず。んー……だけど、見る限りでは真新しいわね」
「ああ、使うかもしれんと思って用意していた。だが結局使わずに、何千年も異空間の収納ケースに入れっぱなしだったからな」
それを聞きミィレインとマグドラスは、辺りに散らばってる真新しいアイテムや装備品などをみて納得し溜息を漏らす。
気を取り直したあとミィレインは、ドラバルトの持つ木の器に能力を使って水を出し注いだ。
木の器に水が溜まるのを確認すると、ドラバルトは美鈴を抱き起こした。その後、美鈴を仰向けに抱きかかえ直すと木の器を口元に持っていき水を飲ませる。
ところが美鈴は、弱っているせいか自力で飲めない。
ドラバルトは、どうしたらいいのかと考えた。
その様子をみたミィレインとマグドラスも、どうしようかと悩む。
そんな中ドラバルトは「あー」と叫びながら頭を掻きむしる。その後、この方法しかないと自分自身に言い聞かせ木の器の水を口に含んだ。と同時に、美鈴に口移しで水を飲ませる。
信じられない光景をみたミィレインとマグドラスは、ポカンと口を開けたままその場に立ち尽くす。
それから数十秒後、ドラバルトは美鈴に水を飲ませ終えた。その時、我に返ったドラバルトは、美鈴の側をサッと離れ背を向ける。
(これは、不可抗力だ。断然そういった行為では絶対にないっ!!)
__なぜか、ドラバルトの顔は赤く染まっていた__
ドラバルトはそのままの状態で話し出した。
「マグドラスにミィレイン。悪いが、今のはみなかったことにしてくれ。いいな、特にミスズには絶対、言うなよっ!!」
それを聞きミィレインとマグドラスはコクリと頷く。
その後、ドラバルトの声に反応して美鈴は目を覚ました。
「……ねぇ、どうしたの。てか、なんか口の周り湿っぽい。それに、だるくて起きられないんだけど」
「あっ! 目を覚ましたわね。そうそう倒れた美鈴をドラバルトが、そこにある木の器で水を飲ませたからよ」
「そう、なんだ。ドラバルトありがとう。ハァハァ……。だけどまだ起きられない……」
それを聞きドラバルトはコクリと頷き口を開く。
「ああ……め、目が覚めてよかった。しかし、俺が持っている魔法やアイテムじゃ回復は無理だ」
「そうねぇ。アタシの持ってる今の能力じゃ、まだ力不足で無理そうだし……」
「儂には、他の者を回復させる能力などない」
その後ミィレインとドラバルトとマグドラスは、どうしたらいいのかとまた悩み始める。
そして美鈴は、起きられないまま「……」と思いゾッと身を震わせた。
(……ドラバルトのおかげで目が覚めたけど。起きられない理由、恐らくお腹が空いてるせいもあると思う。だけど、ここには食料がない……まさか、このまま……)
あれから美鈴たちは封印を解くため洞窟の出入口に来ていた。
「この岩の扉にかけられた術を解除すればいいんだよね」
それを聞きミィレインとドラギドラスとマグドラスはコクリと頷く。
唾をゴクリと飲み込むと美鈴は、扉をみつめ下から上へと目線を移動した。
(……封印を解けば、ここから出られる。大丈夫、だよね……)
そう思いながら岩の扉に手を翳す。その後、瞼を閉じ大きく息を吸うと目を見開き手元に視線を送る。
《解っ!!》
そう言い放つと岩戸全体が激しく光った。その直後、轟々と地鳴りがしグラグラ揺れ始める。
その地鳴りと揺れはしばらく続いた。その後、岩戸全体から放たれた光が消えると揺れも治まる。
するとそこに何もなかったかのように、スッと岩戸が消えた。
それと同時に、ビューっと外からの熱風が出入口を通り中に入ってくる。
「ちょ!? アツ……」
美鈴は余りにも熱かったため、それ以上なんにも言えず、バタンとそのまま地面に倒れた。
それをみたミィレインは倒れている美鈴の顔の側まで来て覗き込む。
ドラバルトもまた大丈夫なのかと心配に思い美鈴を覗きみた。
「ミスズ、どうした? なぜ倒れたのだ」
「ドラバルト様。もしかすると、外気と洞窟内の熱さに耐えられなかったのでは?」
そうマグドラスが言うとミィレインは、外の様子をみるため飛び立ち洞窟を出る。
__それから数十秒後、戻って来た。
再びミィレインは、美鈴の側までくる。
「なるほどね、そういう事か。ここはネツオン大陸だから暑いを通り越して熱いわけかぁ」
「まさか、そのせいで倒れたのか?」
そうドラバルトに問われミィレインはウンと頷いた。
「そうなると美鈴には、熱耐性がないという事だな」
「ううん、それはちょっと違うかな。さっきミスズを見た時、熱耐性は強化されてたけど。空腹ってステータス画面に書いてあったわよ」
「そういう理由か。そう言えば昨晩から何も食べていなかった。となると食料を調達する必要があるな」
そう言いながらドラバルトは出入口へと視線を向ける。
「ですがドラバルト様、ヒューマン……いや、異世界の勇者が食べられる物がこの地にはないと思いますが?」
「ウム、確かにな。今のミスズの状態をみる限り脱水も起こしておる。そうなると水も必要だろうな」
「水なら大丈夫。アタシが出せるから、ただ何か入れる容器があるといいんだけど」
そう言われドラバルトは、何かめぼしい物がないかと、異空間の収納ケースを漁ってみた。
__数分後、現在ドラバルトのアイテムや装備品などが周囲に散乱している状態である。
ドラバルトは、ようやく水を入れられそうな器をみつけた。
「……これなら、水を入れることができる。それに、飲ますことも可能だ」
そう言いドラバルトは、木の器を手に持ちミィレインとマグドラスにみせる。
__その木の器は、お椀のような形だ。だが、それよりも小さくって縁の一部に溝がある。
それをみたミィレインは、木の器に視線を向け嬉しそうにニカッと笑った。
「中々いい器ね。もしかして、これ薬を調合する時に使う容器じゃニャいの。それも木ってことは、相当な年代もののはず。んー……だけど、見る限りでは真新しいわね」
「ああ、使うかもしれんと思って用意していた。だが結局使わずに、何千年も異空間の収納ケースに入れっぱなしだったからな」
それを聞きミィレインとマグドラスは、辺りに散らばってる真新しいアイテムや装備品などをみて納得し溜息を漏らす。
気を取り直したあとミィレインは、ドラバルトの持つ木の器に能力を使って水を出し注いだ。
木の器に水が溜まるのを確認すると、ドラバルトは美鈴を抱き起こした。その後、美鈴を仰向けに抱きかかえ直すと木の器を口元に持っていき水を飲ませる。
ところが美鈴は、弱っているせいか自力で飲めない。
ドラバルトは、どうしたらいいのかと考えた。
その様子をみたミィレインとマグドラスも、どうしようかと悩む。
そんな中ドラバルトは「あー」と叫びながら頭を掻きむしる。その後、この方法しかないと自分自身に言い聞かせ木の器の水を口に含んだ。と同時に、美鈴に口移しで水を飲ませる。
信じられない光景をみたミィレインとマグドラスは、ポカンと口を開けたままその場に立ち尽くす。
それから数十秒後、ドラバルトは美鈴に水を飲ませ終えた。その時、我に返ったドラバルトは、美鈴の側をサッと離れ背を向ける。
(これは、不可抗力だ。断然そういった行為では絶対にないっ!!)
__なぜか、ドラバルトの顔は赤く染まっていた__
ドラバルトはそのままの状態で話し出した。
「マグドラスにミィレイン。悪いが、今のはみなかったことにしてくれ。いいな、特にミスズには絶対、言うなよっ!!」
それを聞きミィレインとマグドラスはコクリと頷く。
その後、ドラバルトの声に反応して美鈴は目を覚ました。
「……ねぇ、どうしたの。てか、なんか口の周り湿っぽい。それに、だるくて起きられないんだけど」
「あっ! 目を覚ましたわね。そうそう倒れた美鈴をドラバルトが、そこにある木の器で水を飲ませたからよ」
「そう、なんだ。ドラバルトありがとう。ハァハァ……。だけどまだ起きられない……」
それを聞きドラバルトはコクリと頷き口を開く。
「ああ……め、目が覚めてよかった。しかし、俺が持っている魔法やアイテムじゃ回復は無理だ」
「そうねぇ。アタシの持ってる今の能力じゃ、まだ力不足で無理そうだし……」
「儂には、他の者を回復させる能力などない」
その後ミィレインとドラバルトとマグドラスは、どうしたらいいのかとまた悩み始める。
そして美鈴は、起きられないまま「……」と思いゾッと身を震わせた。
(……ドラバルトのおかげで目が覚めたけど。起きられない理由、恐らくお腹が空いてるせいもあると思う。だけど、ここには食料がない……まさか、このまま……)