ここはドラギドラス(ドラバルト)の洞窟。

 あれから美鈴とドラバルトとマグドラスは色々なことを話し合っていた。

「これからどうするんだ?」

「そうだね。ここにいつまでもいるわけにもいかないし」

「儂の力で岩戸を破壊するか?」

 マグドラスがそう言うと二人は大きく首を横に振る。

「おいっ、そんなことをしたらこの洞窟が崩れ生き埋めになるだろうがっ!」

「うん、そうだね。でも、どうしようか……」

 そう美鈴が言ったその時。__ボンッと音がしドラバルトをモクモクとした煙が覆い包んだ。

 それと同時にドラバルトはドラギドラスの姿に戻る。

「イテッ!?」

 天井に頭をぶつけあまりの痛さに叫んだ。

 その光景をみて美鈴とマグドラスは驚き後ろに一歩引いた。

 一瞬ドラバルトは何が起きたのか分からなかったが、自分の姿をみて青ざめる。

「こ、これは……どういう事だ……」

「なぜドラバルト様が、またその姿に……」

「もしかしたら、ウチの能力の効き目がなくなったのかも」

 そう言い美鈴はどうしようかと額にダラダラと汗をかいた。

「……そういう事か……だがこの姿では、流石に外に出れん」

「そうだね。でもなんで喋り方は変わってないの?」

「ああ、これか。それはな、あの姿でこの喋りだと怖がられると思ったのと。正体がバレるのが嫌だったからだ」

 ドラバルトがそう答える。

 それを聞き美鈴とマグドラスが「なるほど」と頷いたその時。__パンパカパァーンっと辺りに鳴り響いた。

 それと同時に、美鈴の足元に魔法陣が浮かび上がり虹色の眩い光を放ち上昇する。その光は美鈴を覆い包んだ。

 すると美鈴の体は虹色に光り輝き始める。

 ドラバルトとマグドラスは、いったい何が起きてるのか理解できずに目を丸くし美鈴をみていた。

 そして美鈴からレベルが上がるような音が、カッキィーン、カッキィーンっと鳴り響く……。


 ____それから数十秒後、美鈴の体から虹色の光とレベルが上がるような音が消える。それと共に美鈴は、ストンと地面に座り込んだ。

 すると地面に水色の魔法陣が浮かび上がり、そこから水が溢れ出る。その水と一緒にボロボロの板状の箱が浮上してきた。

 美鈴は何がなんだか分からず呆然とし、ドラバルトとマグドラスも何が起きたのか状況を把握しようと思考をフルに回転させる。

 そうこうしていると魔法陣と水は跡形もなく消え、そのボロボロの箱だけが地面に置かれていた。

 美鈴はその箱を恐る恐る触ろうとする。触る手前で箱の蓋が勝手に開き、パァーンっと音が鳴り響いた。そして眩い光と共に、カラフルな紙テープや紙吹雪が上昇し高らかに舞った。

 その音にビビり美鈴たちは、後ろに仰け反る。

 その後、箱の中から白と青と水色の模様の三毛猫が這い出てきた。みた感じ子猫のようだ。それと妖精のような虹色の翼が生えている。

「ハァ〜、やっとニャァ。クエストらしいことクリアしてくれニャいから、なかなか出れなかったじゃニャいっ!?」

 その三毛猫は美鈴をみて明らかに怒っていた。

 しかし美鈴は、なんで自分が怒られているのか理解できない。

「あーえっと。これってどういう事なの?」

 そう聞かれその三毛猫は羽根をバタつかせ飛び上がり、美鈴の眼前までくる。

「なるほど、これは全く現状を理解してニャい。んー変ねぇ。普通、女神様が能力について教えるはずだけど……どういう事?」

「どういう事って聞かれても……」

 そう問われ美鈴は、ここまでの経緯など色々と説明した。

「フムフム、そういうわけかぁ。……女神様がねぇ。信じられニャいけど、この状況をみる限り嘘じゃニャいだろうし」

「うん、それはそうとクエストクリアってどういう事かな?」

 そう聞かれその三毛猫は、少し考えたあとその説明をし始める。

「そのことね……」

 そして美鈴たちはその三毛猫の話を食い入るように聞いていたのだった。