ここは、炎を司る神ファイグが管理する世界ホムノオズ。

 この世界の大陸には火山地帯が多い。そう、ほとんどの水が熱い状態でお湯になっている。

 そのためお湯の川や海などには生き物が存在していない。

 その代わり地上や空などには、暑さや熱さに耐えられる生物などが生息している。

 だがなぜか熱いながらも水は、お湯としてこの世界に存在していた。


 この世界の遥か上空には、ファイグの城がある。その城は、炎を思わせるつくりだ。

 あれからファイグは、異界領域から自分の城へ戻ってくる。そして、燃え盛る炎をかたどった玉座に腰掛け、プカプカと宙に浮く火の飾りの付いた赤い水晶を覗いていた。

「さて、スイクラムは何を、して……」

 そう言いかけたがファイグは、水晶に映るスイクラムをみて頭を抱える。

(これはどういう事だ!? なぜ水晶を覗き、そのように楽しげに笑っている。それも、私が送った伝達文を読まずにでだ。
 だが、何をしているのか気になる。恐らく、自分の世界を覗いてるのだろう。しかし……)

 そう思いながら水晶から目を逸らし難しい顔で考え込む。

(……ここで無駄に考えていても無意味。そうなると、スイクラムに直接聞いた方がいいのだろうが。うむ、それでは面白くない。
 そうだなぁ、時間はまだある。少しスイクラムの世界がどうなっているのか視察してくるか)

 そう考えが纏まるとニヤリと笑みを浮かべる。すると席を立ち前へ歩き出した。

 そしてファイグは、城内の広い場所までくると指をパチンっと鳴らす。と同時に、スイラジュンムのヒューマンに姿を変える。


 そう見た目はイケメンであまり変わりなく、キリっとした細い目、長い前髪の一部が白いメッシュで赤いショートヘアだ。


 ファイグは姿を変えると、ひとまず城の外へ向かい歩きだす。

「まぁ、神としての力を使い、あの世界に干渉しなければ大丈夫だ。……そいうことで、たまには、他の世界を探索してみるとするか」

 そう言いながら城の外にでる。そして広い敷地に辿り付いたファイグは、右手を前に掲げ神語で呪文を唱えた。すると眼前に赤い魔法陣が浮かび上がる。

 その魔法陣は赤い光を放ち、そこから緋色の水晶の欠片が現れた。

 ファイグは、その緋色の水晶の欠片を右手で掴み思いっきり握りしめる。

「さて、行くか……。転移する場所は、」

 その後、熱い場所がいいと思い、神語で『スイラジュンムに転移っ!!』と言い放った。するとファングは残像と共に消える。

 そして、スイラジュンムのとある熱帯大陸へと転移したのだった。