ここはレインライムのルイドの家。

 日が昇り、目の大きい二羽の鳥が奇妙な声で鳴き飛んでいる。

 あれから翌朝になりエリュード達は、朝食を済ませたあと客間で話をしていた。

 部屋の壁や床は茶系に近いオレンジ色に塗られている。周囲は、住み込みでこの家の全般を任されているカタバルイナが清掃をしているためいつも綺麗だ。


 __因みに、カタバルイナはドワーフの女性でかなりお年を召している。


 カタバルイナは部屋に入るなり無言のまま、エリュード達の前にお茶とクッキーのような食べ物を置いていく。__その後、配り終えると軽く会釈をし部屋から出ていった。

 それを確認するとエリュード達は、お茶や菓子を食べながら再び話し始める。

「……今のところミスズは大丈夫だと思うが。ただ、いつまでもあの洞窟にいれば、いずれは餓死するかもしれない」

「確かにエリュードの言う通りニャ。だけど、どうやって、」

「そうねぇ。……だけど、ここで考えていても解決しないと思うんだけど」

 そう言いライルはカップに注がれているお茶を少し口に含む。

「確かにここで考えてる余裕はねぇ。そうなると、早急にここを発ち向かった方がいいんじゃねえのか?」

「そうだな。ルイドの言う通りだ。どうするかは、ネツオン大陸に向かいながら考えてもいいんじゃ?」

 その話を黙って聞いていたゴルイドは、閉じていた目を半開きにし口を開いた。

「……俺はそれで構わねぇが、このメンバーで行くつもりか?」

「俺は、ギルドを離れるわけにはいかん」

「あたしは、どうしようかしら。お金になるならまだしも……だけどミスズは、短期間とはいえここまで一緒に旅をした仲間だしなぁ」

 そう言いながらライルは悩む。

「俺は、別にどっちでも構わねぇが。ミスズちゃんが心配だ。それに一人旅も、つまらねぇ。ってことで、エリュードが行くってんなら」

「ゴルイド。ああ勿論、俺はミスズを助けに行く」

 そう言うとエリュードは、美鈴を想いながら遠くをみつめる。

「勿論ボクも行くニャ。それに、あの洞窟のことよく知ってるのニャ」

「ほう、そりゃいい。じゃ、存分にこき使ってやるとするか」

 エリュードはニヤリと笑い目を細めヴァウロイをみた。

「ふざけるニャっ!! お前(エリュード)の指図なんか受けないのニャ」

 そう言いエリュードをムッとした表情で睨みみる。

 それをみたルイドは、なんとか言いくるめエリュードとヴァウロイをなだめた。

 その後エリュード達は話し合いその結果。ルイドはギルドに残り、エリュード、ヴァウロイ、ライル、ゴルイド、四人がネツオン大陸に向かうことになった。

 そしてエリュード達は、ネツオン大陸に向かうための準備をする。



 場所は移り、ここはスイクラムが住まう天空城。スイクラムは玉座に腰掛け瞑想をしていた。

(それにしても最近、特にですが。何ゆえか、こうも上手くいかない。やはり神としてのエネルギーが減っておるのやもしれぬ。
 そうでなければ、こうも失敗を繰り返すことなどないはず)

 そっと瞼を開き目の前にあるプカプカ浮く水晶をみやる。

(さて、瞑想もこの辺で切り上げ、あのダサ女(美鈴)がどうなっているか。クスッ、流石にあのドラゴンには勝てないわよねぇ)

 そう思いながら水晶に目掛け手を翳し、美鈴がいるであろう炎の竜マグドラスの洞窟内をみた。と同時に首を傾げる。

(はて? もう既に事が済んでいるというのか。ですが、それにしては洞窟内……荒れていません。どうなっているのでしょう)

 どうなっているのかと困惑した。

(……まさか、あり得ないと思いますが。あのダサ女を別の場所に転移させてしまったのかも)

 そうではないことを願いながら水晶に手を翳し美鈴がいる場所を探る。

 __すると炎の竜マグドラスの洞窟より、約十キロ離れた北東にある苔が生え寂れた洞窟に美鈴の気配を察知した。

(なぜよりにもよって、あのドラギドラスの洞窟に……。クッ、ああ、仕方ない。
 あの洞窟は封印されていて脱出不可能。ですが、万が一という事もあり得ますし)

 スイクラムは不敵な笑みを浮かべると、水晶に手を翳しながら再びマグドラスがいる洞窟を覗く。

 その後マグドラスは何も分からないまま、スイクラムによりドラギドラスの洞窟へと飛ばされる。

「さあ、どうなるかしら? 楽しみだわ。ですが、もしもという事もありますし。マグドラスが、ちゃんとあの洞窟(ドラギドラスの洞窟)に転移されたか確認しておきましょう」

 そう言いスイクラムは視点をドラギドラスの洞窟へ移す。



 その頃美鈴は、ドラギドラスが横たわるお腹の上で、よだれを垂らしながら吞気に爆睡していたのだった。