ここはギルドの従業員用の休憩室。なぜか美鈴はここにいた。


 そうあれからエリュードを追いかけギルドにくるも、リムに呼び止められ無理矢理ここに連れてこられたのだ。


 現在リムが美鈴の髪を整えていた。

「ねぇ、やっぱり髪型を変えても変わらない気がするんだけどなぁ」

「いえいえ、そんなことないです。もともと、可愛らしい顔立ちをされているのですから」

 そう言いながらリムは、今までボサボサだった美鈴の髪を綺麗に纏めあげ、器用に両脇を交互に編み込んでいく。

「うん、ありがとうございます。だけどリムさんが言うように、本当にゾラがウチのこと……」

「ミスズさんっ! 絶対間違いありません。もっと自信を持ってください」

「う、うん……でもなぁ」

 美鈴は深い溜息をついた。


 そう、エリュードの恋煩いの相手が自分だと言われるも、いまだに自信が持てずにいたのである。


 そうこう話してる内に髪型が整えられ、美鈴は見違えるように可愛くなった。

「さぁ、できましたよ」

 リムは手鏡を持ち美鈴に向ける。

 ドキドキしながら美鈴は、手鏡に映る自分の姿をみた。と同時に、思わず見惚れてしまい顔を赤らめる。

「ちょ、待ってっ! これって、本当にウチなの?」

「ええ、勿論です」

 そう言いリムは、ニコッと笑った。



 そうこう話をしていると、扉が開きノエリアが入ってくる。そして二人の側まできた。

「ノエリア、どうしたのですか?」

 なぜノエリアがここに来たのかと、リムは疑問に思い問いかける。

「リム、至急ミスズさんと話したいことがあると、マスターに言われて来たのですが」

 そう言いながら美鈴の方に視線を向けた。

「あらぁミスズさん、とっても素敵になられましたね。もともと可愛らしい方だとは思っていましたけれど、更に良くなられていますよ」

「ノエリアさん、あ、ありがとうございます」

 ノエリアにそう言われ美鈴は照れてしまい両手で顔を隠す。

「それでリム、マスターが扉の向こうで待っているのですが」

「マスターが、なぜこちらに?」

「詳しく知らないのですが、マスターの部屋では話せないことらしいのです」

 それを聞きリムは少し考える。

(確かマスターの部屋にはゾラさんがいたはず。もしかして、マスターがミスズさんと話したいことって、)

 そう思ったあと頷いた。

「分かりました。ミスズさんも大丈夫ですよね?」

「うん、大丈夫です。ただ何を言われるか不安しかありませんが」

 そう言うと美鈴は苦笑する。

「それでは、マスターを呼んできますね」

 そう言いノエリアは部屋から出ていった。

 それを確認するとリムと美鈴は片づけを始める。

(ウチと話したいことって、なんだろう? たいしたことじゃなければいいんだけどなぁ)