ここはレインライムにある冒険者ギルド。

 あれから美鈴とエリュードは、リムから試験官のティムとダインを紹介される。そして、あいているテーブル席で話を始めた。

「では、改めて自己紹介しますね。私は、このギルドの()()()()受付嬢のリム・ルイと申します」

 リムはニコッと笑い、美鈴とエリュードをみる。

(なんで看板を強調するんだ?)

(うわぁ。これってまちがいなく。自分が、看板受付嬢だっていう事をアピールしてるよねぇ)

 美鈴はどう反応していいか困ってしまい、ひたいから一しずくの汗がたらりと垂れた。

「看板受付嬢って……おい! 確かここの看板受付嬢は、リムじゃなくノエリアだったは、ず。う、ぐっ……」

 その先を言おうとするのをティムは、面倒なことになる前にダインの口をふさぎ話し始める。

 だが時すでに遅くリムは、ムッとしダインをにらんだ。

「なぁ、リム。そう怒らないでさぁ。まぁノエリアほど人気じゃないけど。あまり大差がないくらいの人気はあるんだから」

 ティムはなだめるつもりで言った。だが、その言葉が水に油を注いだ結果となり、リムのゲキリンに触れる。

「ティム!? 私は、ノエリアに負けてなんていません! そもそも、あの(ひと)とくらべられるのは不愉快です!!」

 そう言いリムは、ぷいと横を向いた。

「どうすんだよ。リムがこんな調子じゃ話もできやしない」

 ダインは、どうすればいいかと頭を抱えうなだれる。

「おい! やけに、なんか話がそれてないか?」

 エリュードはイライラしていた。ランク付け試験の話をするはずが、話がそれた揚げ句にリムがふてくされているからだ。

「ゾラさん! 申し訳ないとはおもいますが。これは私にとって……」

 そう言いきる前に美鈴が、リムの話の間に割って入る。

「待ってゾラ! リムさんの気持ち、すごく分かる。ウチもそんなことを言われたらつらいから」

 美鈴はそう言い、目をウルウルさせながらリムをみた。

「そ、そうだろうが。ハァ、そうだな。すまなかった」

 美鈴にそう言われエリュードは、あまり納得できなかったがリムをみると頭を下げ謝る。

「あー、いえ。頭を上げてください。私も場をわきまえず申しわけありませんでした」

 エリュードがすんなり納得して謝ったため、リムは拍子抜けしてしまった。

 リムは気持ちを落ち着かせるため深呼吸をする。そして落ち着いたと同時に、逆に自分が悪かったことに気づき恥ずかしくなり謝った。

「まぁ俺は、ただ早く話を進めてほしかっただけだから大丈夫だ」

 そうエリュードが言うとティムとダインは、この場にいるのが気まずくなりモジモジし始める。

「ああ、えっと。すまんリム。言いすぎた」

「リム。私こそ言わなければいいことを。ホントに、ごめん」

 ダインとティムは、リムに頭を下げ謝罪した。

「仕方がありませんねぇ。二人とも、今回は大目にみます、が。次はないとおもってください」

 そう言いリムは、ティムとダインのほうに視線を向けると軽くにらんだ。

「では遅くなってしまいますので。改めて紹介させていただきますね」

 リムはティムとダインをみたあと、エリュードと美鈴のほうへ視線を向ける。

 そしてリムはその後、美鈴とエリュードにティムとダインの紹介をしながら話を進めていった。