ニコニコしながらリムは、ティムとダインのほうへと歩みよる。

 ティムとダインは、なぜリムが自分たちのほうにくるのか分からずビクビクしおびえていた。

「ええと、ティムにダイン。なぜ二人とも、おびえているのでしょうか?」

 二人がおびえている理由が分からず、リムは首をかしげ問いかける。

「リム。私たちが、何かしたのか?」

「今回は俺ら、何もしていないと思うんだが?」

 そうティムとダインは、恐る恐るリムに聞いた。

「そうですねぇ。確かに今回は、珍しく問題視するような事はありませんでした」

 そう言いリムは、ニコッと笑い二人をみる。

「じゃ、リム。なんの用があって私たちに?」

「ティム。私の声が聞こえていなかったのですね」

 ティムに言われリムは、目をウルウルさせた。

 そうリムが周囲の者に聞こえるよう大きな声で言ったのにもかかわらず、ティムはそれを聞いていなかったためである。

(あーしまった! まさかリムが、何か言うとは思わなかった。どうしよう聞いてなかったし)

 どうしようかと思いティムは、リムから視線を逸らし悩み始めた。

「グスン、……いいです。聞いていなかったのでしたら、ほかの冒険者の方から試験官を選出いたしますので」

 リムは涙を拭いながら、ティムをチラッとみる。

「えっ!? 試験官って。ちょっと待って、リム。まさか、カウンターのところにいる、あの二人のランク付け試験のか?」

 そう言いティムは、テーブルをバンッとたたき身を乗り出すとリムに視線を向ける。

「はい、そうです。ですがお二方ともに、いやそうにされているようですので……」

 リムはティムとダインをチラチラと見たあと、二人に背を向けギルドの中央のほうへ行こうとした。

 と同時にティムとダインは、リムの腕をつかみ引きとめる。

 腕をつかまれリムは、二人のほうへと向きを変えた。

「リム、ちょっと待って! その仕事は私が引き受ける」

「いや! 俺にやらせてくれ」

 ティムとダインはそう言いリムを見つめる。

「どうしましょう? そうですねぇ。試験対象者が二人ですので、二人でも問題ないと思います。ですのでティムとダイン、お二人ともお願いしますね」

 リムは満面の笑みでそう言い二人をみた。

 ティムとダインはそれを聞きホッとする。

「では、ティムとダイン。ゾラさんとミスズさんに、紹介したいと思いますので着いてきてください」

 そう言うとリムは、ティムとダインに背を向けると軽く舌を出した。

(クスッ。この二人に有無を言わせず仕事をさせるには、これが一番効果的ですので)

 リムはそう思いながら、美鈴とエリュードがいる、カウンターのほうへ歩み始める。

 ティムとダインは、リムの後ろをついて歩き出した。

 歩き出す直前ティムは、リムの態度が急に変わったことに対し、ふと疑問をいだき小声で話し始める。

「なぁ、ダイン。なんか私たちさぁ。リムに、いいように動かされてる気がするんだけど」

「気がするんじゃなくて、そうだと思うぞ」

 ダインはそう言い、ハァとため息をついた。

 そして美鈴とエリュードは、その様子をみていたのだった。