あれからエリュードは、檻の中で暴れていたが『無双』の効果が約十分後に切れた。

 その後エリュードはその反動により、檻の中でグッタリし動かなくなる。

「ねぇエリュード、大丈夫かな? 動かなくなったけど、流石に死んでないよね?」

 そう言い美鈴は、エリュードのことが心配になり檻の中を覗きみる。

 ヴァウロイは嫌々ながらも、手を翳しエリュードの状態を調べた。

「チェッ、意外にしぶといのニャ! あれだけのダメージと体力をかなり削っているにも関わらず、まだ生きてるニャ」

 そう言いガッカリとした面持ちになる。

「ヴァウロイ。流石にそれは言いすぎじゃないのかなぁ」

「なぁ。エリュードばかり構ってないでさぁ。この人、どうするの?」

 そう言いライルは、深手を負い動けずにいるゴルイドを指差した。

「ヴァウロイ、どうする? ウチは、回復してあげた方がいいと思うんだけど」

「ん〜でも、また二人を襲うかもしれないのニャ」

 そう言うとゴルイドを睨みつける。

「ハアハア、ハァ……。すまねぇ、もうおめぇ達を襲おうなんて思わねぇから。た、助けてくれぇ」

 やっとの思いで口を開き、美鈴たちに助けを求めた。

「どうしようニャ。二人がいいって言うなら助けるのニャ」

 そう言い美鈴とライルの方に視線を向ける。そう言われ美鈴とライルは「うん」と頷いた。

 それを確認するとヴァウロイは、宙に浮きながらゴルイドを見下ろす。

 そして、ゴルイドの方に両手を翳し魔法陣を描き呪文を唱える。

 《キョルマドリジェル(極魔回復)!!》

 すると魔法陣から緑色の光が放たれ、その緑色の光はゴルイドを優しく包み込むように覆い尽くした。

 その緑色の光が消え始めると、傷だらけの状態だったゴルイドは徐々に回復する。

「ありがてぇ、助かった! 恩にきる。そういやぁエリュードは、いったいどうしちまったんだ?」

 ゴルイドはそう言い不思議に思いながら、上体を起こし胡坐(あぐら)をかいた。

「それはね--」

 美鈴は申し訳なさそうな表情になりながら、ヴァウロイと共に説明する。

 それをゴルイドとライルは真剣な表情で聞いていた。

 その後ゴルイドとライルは一瞬ムッとしたが、ひたすら美鈴が謝っているのをみて怒る気が失せる。

「ハァ、まぁいいわ。私も悪いから仕方ないことだしね」

「俺の方が、勝手すぎたかもな。ホントにすまねぇと思ってる」

 そう言いライルとゴルイドは頭を下げた。

「ううん、ウチは大丈夫だけど。ただライルさんが、なんでエリュードを狙ってたのか分からないんだけど。って、そういえばエリュード!?」

 美鈴は慌てて、エリュードの檻の方へと駆けよる。

「そういえばエリュードのこと、すっかり忘れてたのニャ」

 そう言うも本当は忘れていなかった。

(気づいちゃったのニャ。このまま放っておけば、始末できたのにニャ。まぁいいニャ。もう少し様子をみて判断するのニャ)

 その後ヴァウロイは、仕方なく回復魔法を使いエリュードを助けたのだった。