ここは、スイル大草原にある小さな湖付近。

　エリュードは、美鈴とヴァウロイにその方法を説明した。

「……ってのは、どうだ？」

「エリュード。なるほど、それって面白いかもしれないのニャ」

「でもウチは、まだ攻撃しか使ったことがないんだけど。本当に大丈夫なのかな？」

　美鈴は昨日一度失敗して以来成功し続けていたので、今度こそ失敗するんじゃないかと不安な表情を浮かべている。

「まぁその時はその時で、なんとかするしかない。それに、俺も用心のために保険を用意しておくつもりだ」

「ボクはみているニャ。だけど、もしもの時は手をかすのニャ」

(ここで大きな貸しをつくっておけば、ヴァンディロード様の思惑通りにことが進むはずなのニャ)

　そう思いニヤッと笑みを浮かべた。

　それをみてエリュードは、ヴァウロイが何か企んでいることに気づく。

　だが、今ヴァウロイを問いただしたとしても口を割らないだろうと思い。そのことは、おいおい様子をみることにしみないフリをする。

　その後、美鈴たちは作戦を再確認したあと所定の位置についた。

　そしてヴァウロイが、パチンと指を鳴らすと時間は動き始める。



　＿＿その頃天空城では、スイクラムが美鈴たちの様子を伺っていた。

　美鈴たちが時間を止め何をしようとしているのかを、宙に浮く透明な球体を覗き込みみている。

「ほう。これは、面白そうなことをしようとしているようね。だけど……まさか、美鈴が生きていたとは」

　そう言うと悔しさのあまり顔を歪ませる。

「それにあのダサ女(美鈴)が、超レアな能力を……。そうなると、このまま野放しにしておくわけにもいきませんわね」

　そう思いどうしたらいいかと思考を巡らせた。

「そうねぇ。まぁ、いいわ。あのダサ女が、どこまでその能力を使いこなせるようになるか試してみましょう。それに、面白そうですし」

　そう言い不敵な笑みを浮かべる。

「クスッ、処分はそのあといくらでもできます。ただ、あの魔族の使い魔が邪魔ね。それと、確かあのエルフの男はエリュード・グリフェ」

　エリュードをみるなり首を傾げた。

「なぜあの者が、こんな所にいるのかしら。それに……いえ、まぁいいわ。考えても、どうせ分からないでしょうから。しばらく様子をみましょう」

　そう言い宙に浮く透明な球体を眺めながら美鈴たちの様子を伺っている。



　＿＿そしてその頃、地上では美鈴たちが行動に移した。