エリュードとゴルイドは、互いに睨み合い戦闘体勢へと入る。

 片や美鈴たちは、それをどうやって止めたらいいのかと試行錯誤していた。

(ホントに、どうしたら止められるの? ウチの能力を使えばいいんだろうけど。なんか、今度こそ間違いなく失敗する気がするんだよなぁ)

 そう思いハァと息を漏らす。

 そうこうしている間に、エリュードとゴルイドが互いに動いた。

 先に動いたのはゴルイドである。

(エリュードとの間合いを開けるのは危険だ。まだ接近戦の方が有利。ってことは、思いきって攻めるっきゃねぇだろっ!)

 そう思い弾みを付けエリュードに近づいたと同時に斧を振り下ろす。

 エリュードはすかさずそれをかわしゴルイドとの間合いをとる。そして、即座に風属性の魔法をゴルイドに向け放った。

 その放たれた風の魔法は、鋭い刃になりて疾風の如くゴルイドの方へと向かう。

 ゴルイドは咄嗟に構え直すと、向かってくる風の魔法に狙いを定め斧を振り下ろし打ち消した。そして、即座にエリュードとの間合いを詰める。

 それと同時にエリュード目掛け斧を振り下ろした。

 エリュードはその攻撃を避けようとする。

 だが斧の直撃をかわすもその破壊力のある風圧により、数十メートル先まで吹き飛ばされ地面に叩きつけられた。

「グハッ! クソォ〜。ハァハァ、あの体格であの素早さって……」

(相変わらず。とんでもない瞬発力に、あの凄まじいほどの破壊力。相手が悪すぎる。
 だが、ここで負けるわけにはいかねぇ。どう戦えばいい? いや今は、考えてる余裕なんかないっ!)

 そう思い動こうとするも強烈な痛みが全身を襲う。だが、今ここでゴルイドに敗北すれば美鈴たちが危険に晒されると思った。

 エリュードは、フラフラながらもなんとか立ち上がる。

 だが既にゴルイドは、地属性の魔法を詠唱しながらエリュードの側まで来ていた。そして、斧を振り下ろそうとしている。

「ご、ゴルイド!? ク、……」

 このままではゴルイドに殺されるとそう思った瞬間。辺りは白黒になり時間が止まった。

「これは、いったいどうなってる?」

 何が起きたのか分からず困惑する。そこにヴァウロイが美鈴と一緒に現れた。

「何、口をポカンと開けてるんだニャ!」

 そう言われエリュードは、我に返りヴァウロイと美鈴の方をみる。

「おい、なんで時間が止まってる? まさかヴァウロイ、お前の仕業か?」

「そうなのニャ。言っとくけどボクとしては、助けたくなかったんだニャ。だけど、ミスズに頼まれて仕方なく助けただけニャ」

 そう言い嫌な顔をした。

「そうか。すまない……ありがとう。だがこのあと、どうするつもりだ?」

「確かにそうだね。ヴァウロイどうする?」

 そう聞かれヴァウロイは考える。

「どうしようかニャ? このまま逃げることもできるけどニャ」

「いやそれだと、ライルがここに残される。そうなると、ゴルイドに襲われかねない。それに俺たちが、ここからいなくなったら変に思うはずだ」

「でも、このままにしておけないだろうし。どうするの?」

 そして美鈴たちは、どうしたらいいかと悩み思考を巡らせていた。