「うわぁ〜、凄く澄んでいて綺麗っ!」

 美鈴は、小さな湖の畔までくると深呼吸し辺りを見渡した。

「水面が、キラキラ光ってる。こんなに綺麗な湖って、みたことない。あっ! 変わった形の魚が泳いでる」

 しゃがみ込み子供のように燥ぎ(はしゃぎ)ながら水面を覗きみる。

 ヴァウロイは、そこまで燥がなくてもと思いつつ美鈴をみていた。

 一方エリュードはそんな美鈴のことを、少し離れた場所から微かに笑みを浮かべみている。

(まるで子供みたいだ。……そういえば、美鈴の歳って? 気になるが、さっきのこともあるし。んー、そうでなくても流石に聞けるわけねぇよなぁ)

 そう思いエリュードは肩を落とし溜息をついた。

(そういえば……。そろそろ野宿の準備をしないと夜になる。フゥ……声かけづらいが言わねえとな)

「おい、そろそろ準備しないと夜になるぞっ!」

 そう言われ美鈴はエリュードの方に視線を向ける。

「あっ、そうだった!」

 そう言いエリュードの方へ歩き出した。

 ヴァウロイは美鈴の後ろをフワフワ浮ながら追っている。

「食事の準備もしないとニャ」

「そうだね。そういえば、食材ってどうするのかな? それに何か作らないとまずいよね」

「確かにニャ。とりあえずエリュードと相談するのニャ」

 そう言われ美鈴は頷いた。

 エリュードは美鈴たちに声をかけたあと、異空間の収納ケースから四角いテントを一張りずつ取り出し組み立てる。

 そこに美鈴とヴァウロイが来て準備を手伝い始めた。

「あーえっと、エリュード。食事の準備なんだけど、どうするの?」

 エリュードは、黙々と準備をしていたがそう聞かれ手を休めその問いに答える。

「そういえば、食材になりそうな物を探してこないとな。林の中とか湖で確保できるが、どうする?」

「携帯用の食料は持ってないのかニャ?」

「ああ、持って来てはいたが、今朝ちょうどなくなっちまった」

 そう言い苦笑した。

「ハァ……仕方ない。じゃ、ボクは湖で食べられそうな野草か魚を取ってくるのニャ」

「じゃウチはどうしよう?」

 美鈴は何をしたらいいかと思考を巡らせる。

「ミスズ。俺が林の中に行き食材になりそうな物を探してくる。お前はここに残り準備をしててくれ」

「うん、そうする。じゃあ、準備をしながら待ってるね」

 美鈴が微笑みながら言うとエリュードは、右手をみえるかみえないかぐらいに上げ軽く振り林の中へと入っていった。

「じゃ、ボクもいくニャ」

 そう言いヴァウロイは湖の方へと向かう。

 それを確認すると美鈴は準備を始める。

 そして美鈴はエリュードが置いていった食器と調理器具を並べたあと、近くの木に寄り掛かり色々と考えていた。

(これからどうなるのかな? 元の世界に帰れるの? だけどあの女神に、一泡吹かせてからじゃないと気がすまないのよね)