ここは、スイル大草原の大きな木がある付近。

 美鈴とエリュードは、ヴァウロイが仕掛けた罠に引っかかり気絶していた。

 片やヴァウロイは、ヴァンディロードとの通信が終えると美鈴とエリュードの元へと戻ってくる。

「二人共、まだ気絶してるのニャ。少し強力すぎたかニャ。流石に起こさないと……んー、仕方ない回復させるしかないニャ」

 そう言い宙に浮きながら二人を見下ろした。そして能力を使い、美鈴の上に覆い被さっているエリュードを脇にどける。

 すると、二人の方に両手を翳して魔法陣を描き呪文を唱えた。

 《キョルマドリジェル(極魔回復)!!》

 魔法陣から緑色の光が放たれると、美鈴とエリュードを優しく包み込んだ。

 その緑色の光が消え始めると、黒焦げ状態だった美鈴とエリュードは徐々に回復していった。

 だが、服や装飾品などはそのままである。

 するとエリュードは目を覚まし空をみたあと、右側に横たわっている美鈴の方を向いた。

(ん? 俺は生きてるのか。確かヴァウロイが仕掛けた罠にかかって黒焦げになったはず。
 それなのに、なぜか服以外は回復している。これってどうなっている? そういえば美鈴も、爆発に巻き込まれたはずだ。
 やはり服以外は……って、あーえっと、いや、これはどう考えても不可抗力だよな。あっ! そうそう、みてないってことにしておこう)

 そう思い美鈴から目を逸らし向きを変えようとする。とその時、美鈴は目を覚ましエリュードの方をみた。

「エリュード、どうしたの? 服がボロボロになってるよ」

 美鈴は目を覚ましたばかりで、自分がどんな状態なのかも分かっていない。

 なので自分の隣に横たわっているエリュードをみて不思議に思い問いかける。

「なんで固まったまま顔を赤くしているの?」

 そう美鈴が目を覚まし尚且つ自分の方を向いていたため、エリュードは目のやり場に困り固まっていたのだ。

 その後エリュードは更に顔を赤くし鼻血が吹き出した。

「うわぁ〜! エリュード、大丈夫!?」

 そう言い心配になりエリュードに近づこうとする。

「ミスズ。自分の姿を、よくみた方がいいと思うのニャ」

「ヴァウロイ。それってどういう事?」

 美鈴はヴァウロイに言われ、自分の姿をマジマジとみた。と同時に美鈴の顔が赤くなる。

「う、ギャーーーー!?」

 そう叫ぶと美鈴は、その場にいるのが恥ずかしくなり少し先にある茂みに猛ダッシュで逃げ隠れた。

「あらら。これは、ボクのミスでもあるのニャ。二人を少し離してから回復するべきだったニャ」

 ヴァウロイは、二人がこのままだったらどうしようかと思い悩み始める。

 その後少しの間、美鈴とエリュードは立ち直れずにいたのだった。