ヴァウロイとエリュードは牽制し合っていた。だが、このまま睨み合っていても埒が明かないと思い互いに動く。

 それをみた美鈴は、急がないとと思い両手をエリュードとヴァウロイの方に向け、

 《無気力!!》

 そう言い放った。

 するとヴァウロイとエリュードの周りに、どんよりとしたオーラが現れ覆い包んだ。と同時に表情が暗くなり体の力が抜けていった。

 そのままヴァウロイは、飛んでいることができなくなりストンと地面に落ちる。

「これは……ふにゃぁ〜……もう、どうでもいいニャァ。何もしたくないのニャ」

 片やエリュードは、完全に気力が失せ地面にバタンと横たわった。

「なんだこれは……あーいや、もうどうでもいいや」

 ヴァウロイとエリュードは、何もやる気が起きず横たわりボーッとしている。

 美鈴はこれで戦闘にならずに済むと、ホッと肩の荷を下ろした。だがその直後、美鈴の脳裏に不安がよぎる。

(ちょっと待って。成功したのはいいけど、これってどうみても効きすぎてるよね。それに、どのくらいで効き目がなくなるのかな?)

 そう思い美鈴は、エリュードとヴァウロイがずっとこのままなのかと思い悩んだ。


 __そして数分後__


 エリュードとヴァウロイの周りを覆っていた、どんよりとしたオーラが徐々に薄くなってきた。

「あっ! もしかして効き目が切れかかってるのかな? そうだっ! 術がとける前に、ちゃんと話をしないと」

 そう思い美鈴は、エリュードとヴァウロイの側までくると話し始める。

「ねぇ、ケンカしないで、ちゃんと話し合おうよ」

「ヒッ! わ、分かったのニャ!」

「はい! 了解です」

 美鈴にそう言われヴァウロイとエリュードは、慌てて起き上がり背筋を伸ばすとそう言った。

 そうヴァウロイとエリュードは美鈴の放った言霊のおかげで、気力をなくしたと同時にネガティブになっていた。

 そのため美鈴が普通に言ったにも関わらず、脅されているように聞こえたのだ。

「あーえっと。そこまで驚かなくても」

 その後、美鈴とヴァウロイとエリュードは術がとけたあとも話し合いを続けたのだった。