野獣が気づく前に美鈴はメニュー画面の操作を始めた。

(確かヴァウロイの説明だと、ここを触ればいいんだよね)

　そう思いながら美鈴は、ステータスの下の方にあるスロットの右脇に表示されている項目から攻撃と単体を選んだ。

　その後スロットと書かれたボタンを押すとリールの一つが回りだす。

(いったい、どんな文字があらわれるのかな？)

　ドキドキしながら文字が表示されるのを待っている。

　すると文字が停止して、それをみた美鈴は「んー」と頭を抱え悩んだ。

(ちょっと待って、これって……)

　そう表示された文字とは『武』だった。

「よし！　じゃぁこれでいこう」

　美鈴は野獣たちの方に手を翳し《無武器!!》と言うが、何も起こらず目の前に『スカ』と書かれた紙がヒラヒラと舞い落ちる。

「スカって、」

「ケラケラ……ププッ……。スカって、いきなりやらかしたのニャ」

　ヴァウロイは口を塞ぎ笑いを堪えていた。

「ムッ！　しかたないでしょ、初めてなんだしさぁ」

「確かに、そうだったのニャ。んー、もう一度だけしかできないから気をつけてニャ」

　そう言われ美鈴は、ウンと頷き真剣な表情になる。

(今度こそ失敗はできないから、慎重に言葉を選ばないとまずいよね)

　そう思い美鈴は急ぎメニュー画面の操作を開始する。

　いつの間にか美鈴が後ろの方にいることに野獣たちは気づいた。すると怒りを露わにし美鈴の方へと向かってくる。

　美鈴はそれに気づき急ぎスロットのリールを回した。

(お願いだから、いい文字が出て！　今度ハズシたら、もうあとがない)