「遊びに行かない?イブの前日」
倒置法で星矢くんに誘われたのは、背中を押した次の日だった。
もしかして両思い?という期待と、なれるとしても彼氏彼女という恋人関係になってはいけない辛さが私の心をぎゅっと締め付けた。
乗ってはいけない。
例え、好きな人と予定が合わなくて、仕方なくそこら辺にいた私を誘っていたとしても、この誘いに乗ることは胸が引き裂かれるほど苦しい未来への第一歩を踏み出していると言っても過言ではない。
だから、言うんだ。行けないって。
行きたいじゃなくて、行けないと。
「行きたい」
嘘をつくために少し力を込めたとき、ポロリと出てきてしまった本音を、彼は聞き逃さなかった。
「じゃあ、どうしても一緒に行きたいところがあるんだ」
ごめん、行けない。
そう口を挟む隙を与えないまま、彼は目を輝かせて勢いのままに話している。
「駅の古時計のとこ、集合な」
彼はこの地域の人がよく集まっている、学校の最寄り駅にある大きな古時計を集合場所に指定した。
「楽しみだな」
わざとなのか、ついこぼれてしまったのか、目尻を下げ、口角を上げて嬉しさが滲み出ている彼の誘いを、もう断ることなどできなかった。
「うん」
ちゃんと笑えていたのか、あからさまな作り笑いだったのか、彼は少し寂しそうな顔をして、また笑った。
倒置法で星矢くんに誘われたのは、背中を押した次の日だった。
もしかして両思い?という期待と、なれるとしても彼氏彼女という恋人関係になってはいけない辛さが私の心をぎゅっと締め付けた。
乗ってはいけない。
例え、好きな人と予定が合わなくて、仕方なくそこら辺にいた私を誘っていたとしても、この誘いに乗ることは胸が引き裂かれるほど苦しい未来への第一歩を踏み出していると言っても過言ではない。
だから、言うんだ。行けないって。
行きたいじゃなくて、行けないと。
「行きたい」
嘘をつくために少し力を込めたとき、ポロリと出てきてしまった本音を、彼は聞き逃さなかった。
「じゃあ、どうしても一緒に行きたいところがあるんだ」
ごめん、行けない。
そう口を挟む隙を与えないまま、彼は目を輝かせて勢いのままに話している。
「駅の古時計のとこ、集合な」
彼はこの地域の人がよく集まっている、学校の最寄り駅にある大きな古時計を集合場所に指定した。
「楽しみだな」
わざとなのか、ついこぼれてしまったのか、目尻を下げ、口角を上げて嬉しさが滲み出ている彼の誘いを、もう断ることなどできなかった。
「うん」
ちゃんと笑えていたのか、あからさまな作り笑いだったのか、彼は少し寂しそうな顔をして、また笑った。