「シャーリー!」
悲鳴が聞こえ、果物エリアにいたシャーリーの元へ駆けつける。
そこには腰を抜かすシャーリーと、そして……
「モグモグ」
あらまあ、何とも可愛らしい小動物がいるではありませんか。
その姿形から『リス』ように見える。
「ボリボリ」
前世と変わらず、茶色の体毛に黒のしましまは顕在。
そのモフモフをまとわせて、二足歩行でどんぐりをモグモグしている。
しかしデカい。
大体50センチぐらいはあるだろうか。
だがまあ、この辺の魔力の濃さから考えると、十分に考えられるサイズである。
「モグモグ、ボリボリ、モグモグ……」
そんな可愛らしいリスちゃんは、俺に構わずどんぐりを一心に食べ続ける。
周りのことがまるで視界に入っていないみたいだ。
その様子は、その様子は……
「なんて可愛いんだ!」
今にも抱きつきたくなるほど可愛かった。
というか、俺の体がすでに抱き着こうとしている。
「ちょ、ちょっと、エアル!?」
「大丈夫だって」
魔獣を見慣れないシャーリーは、怖い生物と認識しているのだろう。
だが俺にはそうは見えない。
どう見ても愛すべき可愛い小動物なのだ。
──しかし、
「おーいリスちゃん。こっちへ──いてっ!」
リスちゃんに触れようとしたところ、静電気のようなものが走る。
威力で言えば静電気よりさらに痛かった。
「……な、なんだ?」
そうつぶやくと同時に、今度はぶるっと肌寒さを感じる。
おかしい。
この秘境は温かったはずなのに。
この冷たい風は一体どこから……?
「ん?」
辺りを見渡すと、どうやら下の方から冷気を感じる。
……というか、どう考えてもリスちゃんからだ。
「なんだこの子──」
「こんなところにおったのか、エアル! って、そいつから離れろ!」
「へ?」
俺を呼びに来たフェンリルさんだけど、リスりゃんを視界に入れるなり声を上げた。
──だが、時すでに遅し。
ちりっ。
「ん?」
何やら服の方から温かさを感じたのだ。
そうして気が付けば……
「んなっ!? あちゃ、あちゃ! あっつ!」
俺の服が燃えていた。
「ぐっ!」
とっさの判断で『水魔法』と『回復魔法』を発動。
すぐに服を消火して自分の体の火傷も癒した。
「俺の服ぅ……」
しかし、パンツ以外の服が燃えてしまった。
一体、何がどうなっているんだ。
そうして呆けていると、ようやくリスりゃんが口を開く。
「モグモグ……ごっくん。あー、美味しかった。ってあれ?」
「……」
そんなリスりゃんは俺を見て一言。
「その格好、あなたは変態ですか?」
「お前のせいだよーーー!」
俺の声は森中に響き渡った。
「そうだったのですね。私がやっちゃたんですね、ごめんなさい」
あれから、俺はとりあえず替えの服を着て、リスちゃんをコテージ前に招いた。
コテージ内は入れられない。
燃えると危ないからな。
「俺もただのツッコミだから。怖がらせちゃっていたらごめんね」
「ツッコミ? よく分かりませんが、怒ってないなら良かったです」
「うん」
さて、和解は一応成立。
少し話を聞くと、このリスちゃんはフェンリルさんの知り合いらしい。
たまにここへ木の実を食べに来たり、食料を漁りに来るそうだ。
森には所有権とかいう面倒なものはない。
心も広いフェンリルさんは、リスちゃんを自由にさせていたそうだ。
そこまで聞いたところで……。
さて、次はどこからツッコもうか。
「ていうかまず、しゃべれるんだね」
「膨大な魔力を吸っていますからね。知能が発達しています」
「そ、そうなんだ……」
可愛いが言葉遣いがしっかりしているな。
なんだこれ、さっきからギャップ萌えが止まらないぞ。
改めて『魔の大森林』の偉大さがよく分かる。
「じゃあ君の名前は?」
「私は『モグりん』と言います」
「モグりん……!」
フェンリルさんの例もあって名前がないかとも思ったが、このリスちゃんは持っていたよう。
それにしても……モグりん。
名前まで可愛い~。
では最後に、先ほどの事も聞いてみよう。
「じゃあ、さっきの色んな攻撃は? 魔法にも見えたけど」
「それなのですが……」
「?」
モグりんはちょっと気まずそうにうつむく。
それを見てか。代わりにフェンリルさんが口を開いた。
「我から話そう。何しろ、モグりんのは無意識なのだからな」
「無意識?」
「うむ。モグりんは、食事に夢中になり過ぎると、無意識に様々な属性魔法を周囲に放ってしまうのだ」
「ええ……」
どういうことだよ。
魔の大森林、偉大どころかやっぱり怖くなってきたよ。
「すみません、最近は抑えられるようになってきたのですが……」
「あ、いや、そういうことなら良いんだよ」
良いのかは分からないけど。
それより、そうなってくると別の心配が生まれる。
「さっきの火属性魔法とか、森に移って山火事になったりしないの?」
「その心配は無い。濃すぎる魔力によって、逆に火の方が消されてしまうからな」
「なんだその現象」
まじで不思議が止まらない。
山火事が起きない森って、不気味だけどすごいな。
「本当にごめんなさい」
「ははっ、いいよいいよ」
モグりんは本当に申し訳なさそうにしている。
俺も怒っていないし、あれこれ聞くのもここまでにしてあげよう。
なんて考えながらその愛らしい姿を見ていると……
「その代わりと言っちゃなんですが」
「ん?」
「私に……料理を提供させていただけませんか!」
モグりんが謎の提案をしてきた。
悲鳴が聞こえ、果物エリアにいたシャーリーの元へ駆けつける。
そこには腰を抜かすシャーリーと、そして……
「モグモグ」
あらまあ、何とも可愛らしい小動物がいるではありませんか。
その姿形から『リス』ように見える。
「ボリボリ」
前世と変わらず、茶色の体毛に黒のしましまは顕在。
そのモフモフをまとわせて、二足歩行でどんぐりをモグモグしている。
しかしデカい。
大体50センチぐらいはあるだろうか。
だがまあ、この辺の魔力の濃さから考えると、十分に考えられるサイズである。
「モグモグ、ボリボリ、モグモグ……」
そんな可愛らしいリスちゃんは、俺に構わずどんぐりを一心に食べ続ける。
周りのことがまるで視界に入っていないみたいだ。
その様子は、その様子は……
「なんて可愛いんだ!」
今にも抱きつきたくなるほど可愛かった。
というか、俺の体がすでに抱き着こうとしている。
「ちょ、ちょっと、エアル!?」
「大丈夫だって」
魔獣を見慣れないシャーリーは、怖い生物と認識しているのだろう。
だが俺にはそうは見えない。
どう見ても愛すべき可愛い小動物なのだ。
──しかし、
「おーいリスちゃん。こっちへ──いてっ!」
リスちゃんに触れようとしたところ、静電気のようなものが走る。
威力で言えば静電気よりさらに痛かった。
「……な、なんだ?」
そうつぶやくと同時に、今度はぶるっと肌寒さを感じる。
おかしい。
この秘境は温かったはずなのに。
この冷たい風は一体どこから……?
「ん?」
辺りを見渡すと、どうやら下の方から冷気を感じる。
……というか、どう考えてもリスちゃんからだ。
「なんだこの子──」
「こんなところにおったのか、エアル! って、そいつから離れろ!」
「へ?」
俺を呼びに来たフェンリルさんだけど、リスりゃんを視界に入れるなり声を上げた。
──だが、時すでに遅し。
ちりっ。
「ん?」
何やら服の方から温かさを感じたのだ。
そうして気が付けば……
「んなっ!? あちゃ、あちゃ! あっつ!」
俺の服が燃えていた。
「ぐっ!」
とっさの判断で『水魔法』と『回復魔法』を発動。
すぐに服を消火して自分の体の火傷も癒した。
「俺の服ぅ……」
しかし、パンツ以外の服が燃えてしまった。
一体、何がどうなっているんだ。
そうして呆けていると、ようやくリスりゃんが口を開く。
「モグモグ……ごっくん。あー、美味しかった。ってあれ?」
「……」
そんなリスりゃんは俺を見て一言。
「その格好、あなたは変態ですか?」
「お前のせいだよーーー!」
俺の声は森中に響き渡った。
「そうだったのですね。私がやっちゃたんですね、ごめんなさい」
あれから、俺はとりあえず替えの服を着て、リスちゃんをコテージ前に招いた。
コテージ内は入れられない。
燃えると危ないからな。
「俺もただのツッコミだから。怖がらせちゃっていたらごめんね」
「ツッコミ? よく分かりませんが、怒ってないなら良かったです」
「うん」
さて、和解は一応成立。
少し話を聞くと、このリスちゃんはフェンリルさんの知り合いらしい。
たまにここへ木の実を食べに来たり、食料を漁りに来るそうだ。
森には所有権とかいう面倒なものはない。
心も広いフェンリルさんは、リスちゃんを自由にさせていたそうだ。
そこまで聞いたところで……。
さて、次はどこからツッコもうか。
「ていうかまず、しゃべれるんだね」
「膨大な魔力を吸っていますからね。知能が発達しています」
「そ、そうなんだ……」
可愛いが言葉遣いがしっかりしているな。
なんだこれ、さっきからギャップ萌えが止まらないぞ。
改めて『魔の大森林』の偉大さがよく分かる。
「じゃあ君の名前は?」
「私は『モグりん』と言います」
「モグりん……!」
フェンリルさんの例もあって名前がないかとも思ったが、このリスちゃんは持っていたよう。
それにしても……モグりん。
名前まで可愛い~。
では最後に、先ほどの事も聞いてみよう。
「じゃあ、さっきの色んな攻撃は? 魔法にも見えたけど」
「それなのですが……」
「?」
モグりんはちょっと気まずそうにうつむく。
それを見てか。代わりにフェンリルさんが口を開いた。
「我から話そう。何しろ、モグりんのは無意識なのだからな」
「無意識?」
「うむ。モグりんは、食事に夢中になり過ぎると、無意識に様々な属性魔法を周囲に放ってしまうのだ」
「ええ……」
どういうことだよ。
魔の大森林、偉大どころかやっぱり怖くなってきたよ。
「すみません、最近は抑えられるようになってきたのですが……」
「あ、いや、そういうことなら良いんだよ」
良いのかは分からないけど。
それより、そうなってくると別の心配が生まれる。
「さっきの火属性魔法とか、森に移って山火事になったりしないの?」
「その心配は無い。濃すぎる魔力によって、逆に火の方が消されてしまうからな」
「なんだその現象」
まじで不思議が止まらない。
山火事が起きない森って、不気味だけどすごいな。
「本当にごめんなさい」
「ははっ、いいよいいよ」
モグりんは本当に申し訳なさそうにしている。
俺も怒っていないし、あれこれ聞くのもここまでにしてあげよう。
なんて考えながらその愛らしい姿を見ていると……
「その代わりと言っちゃなんですが」
「ん?」
「私に……料理を提供させていただけませんか!」
モグりんが謎の提案をしてきた。