心の何処かに桜子の存在がちらつく。上手く寝付けずベランダに出た。あの、昼前の数分間が忘れられない。桜子の振る舞いが風に揺れる花びらのように可憐で……とそこまで考えて辞めた。何を考えているんだ、と頭をかいた。
「珍しいね、こんな夜中に起きてるなんて。昼間なにかあったのかな?」
「姉さん。あぁ、ほんと非日常だったんだ。」
「何?めっちゃ可愛い子でもいたかんじ?!」
「まさしく。」
姉は目を丸くした。色恋に疎い僕から女性の話が出たのが相当驚いたらしい。
「どんな子だった?!」
「桜みたいな、消えてしまいそうな、美しい少女だったよ。」
ただ、面白いくらいに顔が思い出せない。まるで精霊だ。どうしてこんなにも心に引っかかるのだろうか。
「へぇ、優人くんが気になる子かぁ。だいぶ気になるね。」
「好きだなんて一言も言ってないからね?」
姉はタバコを蒸し始めた。一吹き、二吹きしてから口を開いた。
「でも女子が気になるなんて今までなかったでしょう?何かきっとあるんだよ。」
虚ろな目はどこか一点を見つめ、聞こえないくらい小さく何か呟いた。人の名前だ、きっと。おおよそ「狼成」だろう。彼女の元カレの名前だ。未練があるのだろう。
「姉さんだって。」
「そうだね。……狼成は、元気かな?」
もうしばらく連絡もとっていない彼の状況など知るはずがない。彼女は冷えたのか先に中に戻ってしまった。
『姉さんが貴方が元気か心配していましたよ』
『元気にしている』『優紀はどうだ?』
『毎日元気に仕事してますよ』
『そうか……』『また会いたいものだ』
『姉に伝えておきます』
『ありがとう、優人』『おやすみ』
『おやすみなさい』
メッセージはそれで終わった。ふと夜景も眺めてみる。明日は講義もないし、また公園に行こうと決めて、中に入った。なぜか、すっと眠りにつけた。
「珍しいね、こんな夜中に起きてるなんて。昼間なにかあったのかな?」
「姉さん。あぁ、ほんと非日常だったんだ。」
「何?めっちゃ可愛い子でもいたかんじ?!」
「まさしく。」
姉は目を丸くした。色恋に疎い僕から女性の話が出たのが相当驚いたらしい。
「どんな子だった?!」
「桜みたいな、消えてしまいそうな、美しい少女だったよ。」
ただ、面白いくらいに顔が思い出せない。まるで精霊だ。どうしてこんなにも心に引っかかるのだろうか。
「へぇ、優人くんが気になる子かぁ。だいぶ気になるね。」
「好きだなんて一言も言ってないからね?」
姉はタバコを蒸し始めた。一吹き、二吹きしてから口を開いた。
「でも女子が気になるなんて今までなかったでしょう?何かきっとあるんだよ。」
虚ろな目はどこか一点を見つめ、聞こえないくらい小さく何か呟いた。人の名前だ、きっと。おおよそ「狼成」だろう。彼女の元カレの名前だ。未練があるのだろう。
「姉さんだって。」
「そうだね。……狼成は、元気かな?」
もうしばらく連絡もとっていない彼の状況など知るはずがない。彼女は冷えたのか先に中に戻ってしまった。
『姉さんが貴方が元気か心配していましたよ』
『元気にしている』『優紀はどうだ?』
『毎日元気に仕事してますよ』
『そうか……』『また会いたいものだ』
『姉に伝えておきます』
『ありがとう、優人』『おやすみ』
『おやすみなさい』
メッセージはそれで終わった。ふと夜景も眺めてみる。明日は講義もないし、また公園に行こうと決めて、中に入った。なぜか、すっと眠りにつけた。



