公園から家まで歩いて一〇分かからない。家はなかなか立地のいいところに建てられている。そしてなかなかに大きい。父親は幾つもの小会社を持つ親会社の社長だった。今は五つ上の姉が継いでいる。
「ただいま。」
「「おかえりなさい!!お兄ちゃん!!」」
そして六つ下の双子の妹達。
「おかえり、お兄。」
「ただいま。」
一〇歳下の妹。
「にっに!」
「ただいま。今日も元気だなぁ。」
一七歳下の弟がいる。
父方の家系は何を言わずとも女系だ。上から優紀姉さん、僕、優奈と優愛、優羽、そして優馬。六人で仲良く暮らしている。
まぁなんでこんなに歳が離れているかというと、上二人と下四人は母親が違う。僕らの母親は自分が二歳のときに病死した。その後、後添えを迎えたということ。それがまた若い女性で、下四人が生まれたということだ。
その両親でさえ三年前に不慮の事故で亡くなった。まだ幼い子供達と莫大な財産を残して……
「あ!お兄ちゃん、お昼食べちゃった?」
「いや、まだだよ。」
「今日はパンケーキだよ。」
「どおりで甘い匂いが。お腹空いてくるよ。」
「すぐ用意するから!」
双子の姉・優奈は読書家で年何百冊も本を読む。暇さえあれば場所の変え変えずっと読んでいる。何も「図書室の主」と呼ばれているほど、図書委員や司書よりも図書室に詳しいらしい。
双子の妹・優愛はクラスのリーダー的存在らしい。生徒会長を務めていて、先生にも信用されているようだった。ただ抜けているというか、親しみ易いというか、彼女は勉強が苦手だ。その点で完璧でない、かえって良いリーダーのようだ。
「優羽、今日は何したんだ?」
「関数勉強した。そのあと優馬と遊んで、天体と室町時代の勉強した。」
「偉いな。昼食は?」
「少しだけ。」
「食べれたならいい。」
優羽はクラスでのいじめのせいで小五から学校に行っていない。部屋に籠もっていることが多いが、知的できっと誰よりも頭がいい。パソコンを買い与えたので、それで勉強しているようだ。快方に向かっているが、拒食症を患っている。
「優馬は何したの?」
「ゆはっねぇねとあしょんだぁ!!」
「どうだった?」
「たのしかったぁ!!」
また舌足らずな感じがこの頃の可愛さだ。一七という年の差も相まって尚可愛さが倍増する。
大学から帰るたびに覚束無い足取りで駆けてくる彼を見ると、一日の疲れも瞬く間に消えていく。
「ただいま、弟妹たち!!」
夕食の少し前、朱く照る太陽が沈む頃、優紀姉さんが帰ってきた。
「「おかえりなさい!!」」
放任主義だった父と継母。二人だけで食事に行ってしまうこともざらだった。そんな中で優紀は「親」だった。まだ学生だった彼女は、課外は極力受けずに早くに帰ってきて家事を済ませ、僕らの相手をしてくれた。友達とも遊ばず、弟妹が寝た夜遅くに勉強をしていた。
いい私立大学に入って、経済を学んでいる最中、両親が事故で死んだ。大学を卒業する年だった。会社の役人らの意向で彼女は若くして社長になったのだ。彼女の意見も気持ちの整理も待たずに。
僕は知っている。彼女は完璧ではないこと。葬式中、人前では凛とした態度を取っていた。ただ、皆が寝たあと、部屋で声を殺して泣いていたこと。仕事に専念するために結婚間近だった彼氏とも別れてしまったこと。まぁ、彼氏さんのほうは諦めてないようで、僕と定期的に連絡を取っている。彼女も未だに彼氏から貰った指輪をはめている。左手の薬指に……
ここまでの話だと、両親が毒親のように聞こえるが、決してそんなことはない。
「ただいま。」
「「おかえりなさい!!お兄ちゃん!!」」
そして六つ下の双子の妹達。
「おかえり、お兄。」
「ただいま。」
一〇歳下の妹。
「にっに!」
「ただいま。今日も元気だなぁ。」
一七歳下の弟がいる。
父方の家系は何を言わずとも女系だ。上から優紀姉さん、僕、優奈と優愛、優羽、そして優馬。六人で仲良く暮らしている。
まぁなんでこんなに歳が離れているかというと、上二人と下四人は母親が違う。僕らの母親は自分が二歳のときに病死した。その後、後添えを迎えたということ。それがまた若い女性で、下四人が生まれたということだ。
その両親でさえ三年前に不慮の事故で亡くなった。まだ幼い子供達と莫大な財産を残して……
「あ!お兄ちゃん、お昼食べちゃった?」
「いや、まだだよ。」
「今日はパンケーキだよ。」
「どおりで甘い匂いが。お腹空いてくるよ。」
「すぐ用意するから!」
双子の姉・優奈は読書家で年何百冊も本を読む。暇さえあれば場所の変え変えずっと読んでいる。何も「図書室の主」と呼ばれているほど、図書委員や司書よりも図書室に詳しいらしい。
双子の妹・優愛はクラスのリーダー的存在らしい。生徒会長を務めていて、先生にも信用されているようだった。ただ抜けているというか、親しみ易いというか、彼女は勉強が苦手だ。その点で完璧でない、かえって良いリーダーのようだ。
「優羽、今日は何したんだ?」
「関数勉強した。そのあと優馬と遊んで、天体と室町時代の勉強した。」
「偉いな。昼食は?」
「少しだけ。」
「食べれたならいい。」
優羽はクラスでのいじめのせいで小五から学校に行っていない。部屋に籠もっていることが多いが、知的できっと誰よりも頭がいい。パソコンを買い与えたので、それで勉強しているようだ。快方に向かっているが、拒食症を患っている。
「優馬は何したの?」
「ゆはっねぇねとあしょんだぁ!!」
「どうだった?」
「たのしかったぁ!!」
また舌足らずな感じがこの頃の可愛さだ。一七という年の差も相まって尚可愛さが倍増する。
大学から帰るたびに覚束無い足取りで駆けてくる彼を見ると、一日の疲れも瞬く間に消えていく。
「ただいま、弟妹たち!!」
夕食の少し前、朱く照る太陽が沈む頃、優紀姉さんが帰ってきた。
「「おかえりなさい!!」」
放任主義だった父と継母。二人だけで食事に行ってしまうこともざらだった。そんな中で優紀は「親」だった。まだ学生だった彼女は、課外は極力受けずに早くに帰ってきて家事を済ませ、僕らの相手をしてくれた。友達とも遊ばず、弟妹が寝た夜遅くに勉強をしていた。
いい私立大学に入って、経済を学んでいる最中、両親が事故で死んだ。大学を卒業する年だった。会社の役人らの意向で彼女は若くして社長になったのだ。彼女の意見も気持ちの整理も待たずに。
僕は知っている。彼女は完璧ではないこと。葬式中、人前では凛とした態度を取っていた。ただ、皆が寝たあと、部屋で声を殺して泣いていたこと。仕事に専念するために結婚間近だった彼氏とも別れてしまったこと。まぁ、彼氏さんのほうは諦めてないようで、僕と定期的に連絡を取っている。彼女も未だに彼氏から貰った指輪をはめている。左手の薬指に……
ここまでの話だと、両親が毒親のように聞こえるが、決してそんなことはない。



