それから5年が経った。
最近知ったことだけれど、あの場所は"安憩所"というらしい。
由来はそのまま、安らかに憩う場所だかららしい。
どうやら死ぬためだけの場所でもないらしかった。
ただ、死を前にしてどうしたいか、最後に問う場所であり、人生を考える場所らしい。
その場所に出会った5年後も、私には”明日”がやって来る。
多分、来年も再来年も、ずっと。
「お疲れ様です」
私は白のスーツに身を纏い、階段下に立った。
痩せ細った女子高生が"疲れ"と書かれた扉に入っていく。
私は大して冷えていない手を擦り合わせてふぅと一息吐いてから姿勢を正した。