「これで、最後にしよう」

 紗英もアタルも泣き腫らした目で、私たち夫婦を見つめてる。

 空は雲ひとつない快晴で、最後にするには惜しいくらい綺麗だった。

 四人でそれぞれの思いの丈を手紙に綴る。あの手紙の言葉がかなでの本心だったと信じて。すぐに前を向けるわけではないけど、夕陽の語ったかなでの思いと合致するから。

「かなでのあれは、事故だったってことで良いんだよね」
「アヤカはかなでのことが信用できないの?」

 ぐすっと啜り上げながら紗英が呟く。信用できないわけではない。でも、もう十数年恨まれてると思って生きてきたから、すぐにそうでしたかと納得は出来なかった。

「それに、あのアの字は完全にかなでの字だろ。誰が送ってきたかはわからなくても」
「アタルのアもあのアだったの?」
「おう」

 了のようなア。真似して書くことはできる。でもそれを知っていて、あの日の出来事を知っているのは私たち以外にはいない。

 かなでのお墓にお線香を上げて、手を合わせる。

 今まで勘違いしていてごめんなさい。かなでが夕陽を急かしてくれたおかげで今子どももいるんだ。最近は、反抗期で私たちとあまり話してくれないし、お母さんとも呼んでくれなくなっちゃったけど。

 それぞれの思いを線香に託し終わって、全員が同じタイミングで深呼吸をした。

「かなでの手紙通りこれが最後。時々思い出したりはするかもしれないけど、罪悪感とか、贖罪の気持ちで来るのはもうなしね!」

 変わらずに紗英が小さい体を大きく見せようとして胸を張りながら仕切る。私たちはそれに何も言わずに、無理矢理笑顔を貼り付けた。

 アタルが思い出した様に、私と夕陽に向かって奏多のことを聞く。

「奏多ちゃんは家でお留守番なの?」
「最近反抗期で、全然お母さんとか言ってくれないし。どこにも付き合ってくれないの」
「ちっこい時は一緒に来てたのにな」