手紙を締めくくる前に涙で前が全く見えなくなってしまう。ぐすっぐすっと啜り上げる音だけが部屋に響く。
コンコンっと優しいノックの音が響いて、慌てて便箋を隠した。
「なに」
涙で潤んだ声は扉越しでも伝わってしまった様で、お母さんの方まで泣きそうな声になっている。
「言いたいことがあるなら言ってほしいの。一緒に悩もう。一人で泣かないで」
お母さんの声に余計に涙があふれてくる。わたしのことでもうこれ以上悩ませたくないのに。
「大丈夫だから!」
強がって張り上げた声は思ったよりも勢いがなかった。泣かせたいわけでも、わたしが泣きたいわけでもないのに。声が震えてうまくお母さんのことを、呼べない。