この世には存在し得ない手紙が届いた。

 アヤカさん、お元気ですか?

 その一文から始まった手紙は、思い出したくないそれでも確かに楽しかったあの夏休みを綴っている。

 締めくくりに書かれた、「わたしのことは忘れて幸せになっていてください。」の一文に胸が締め付けられた。かなでは私のことを、ううん、私たちのことを未だに許してはいないのだ。

 寝苦しい夏の夜になると、必ず見る夢がある。恨めしそうにこちらを睨みつけ、何かを呟くかなでの夢。きっとかなでは恨み言を唱えていると罪悪感が私に囁く。

 仲間と過ごす楽しい時間は、あっという間に過ぎ去っていた。あの夏、あんなことがあるなんて、想像もせずにただ純粋に楽しんで居たんだ。無邪気な子供のように。