「俺は人間の感情はよくわからんから何も推測はできん」
「うん、お前は素直な子に育てよ」
よしよし、と壱は玉の頭を撫でる。
すると玉が嬉しそうな顔をするので、なんだか壱は本当に玉の父か兄にでもなった気分だった。
養父か、と榊に問われたときは否定したけど、あながち間違ってもいないかもしれない。
(しかし、人間の女が舞弥をって……舞弥に対して何かを考えているのか……?)
玉に、もしまたその女を見たら伝えるように言って、壱も気を引き締めた。
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「壱翁様……」
舞弥の住むアパートを見上げて、ひとりの女がつぶやいた。