カッコいい舞斗と、ごくごく平凡な私。
釣り合っているかと言われれば、きっと周りはそう思わない。
だけど、私は、わざとその事実を考えないようにして目を背けてきた。
舞斗のこと、信じたい…。
『大事にする』って言ってくれたのは本気だってこと。でも…。
自分に自信が持てないせいで、不安が募る。
それはまるで、ズシッと重たい石のよう。
私ってば…舞斗がいつもと違う匂いなだけで、不安になるなんて。
こんな些細なことで、彼を疑ってしまう自分が嫌になる。
モヤモヤしたままいるのもよくないし、講義が終わったら舞斗に直接聞いてみよう。うん!
と、意を決したのも束の間。
「七彩ゴメン…!今日ちょっと用事があってさ。先に帰る。またな」
そう言って、バタバタと講義室を後にする舞斗の背中に得も言えない不安を感じてしまったー…。
❥❥
そんな理由(わけ)で、現在、私は彼氏の舞斗の後をつけ、こっそり様子を伺っている。
時刻は、昼の12時。
舞斗の後を追っていた私は、駅近くのオシャレなカフェまでやって来ていた。
「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりでしょうか?」
そう言って、爽やかな笑顔で接客をしているのは、舞斗だ。
知らなかった。
舞斗がカフェでバイトしてるなんて…。