* * *
迎と待ち合わせなんかしなければよかった。私がこの映画を見たいなんて言わなきゃよかった。たらればが何個も脳内に浮かんで、消えてくれない。
車道からはみ出た車が、私を庇った迎にぶつかった。その衝撃で迎が跳ね上がった瞬間に、私の呼吸が止まる。
慌てて迎に駆け寄れば、迎は私を安心させるように微笑む。痛いはずなのに。
「迎!」
微笑んだまま、口元が「大丈夫」と動く。声も出せないくらい、大丈夫じゃないくせに。私を安心させようと、私の頭を撫でるから……本当に大丈夫って信じたくなって、でも、わかってた。大丈夫じゃないこと。
「迎、ね、待って、お願いひとりにしないで。大丈夫なんだよね、本当に大丈夫なんだよね」
何度も「大丈夫」と唇を動かす迎に、胸が痛む。私より迎の方が辛いはずなのに、こんな時でも私はわがままを繰り返す。
違う。私は、迎にもらった優しさを、強さを、迎にあげる。そう決めたんだから。
「大丈夫! ね、迎、大丈夫だよ! 大丈夫だからね、大好きだよ」
安心させるように口にすれば、涙が喉の奥で絡まって咳き込みそうになる。私の言葉に安堵したように迎が、いつもの笑顔で笑う。「大丈夫」と動かしていた唇は「大好き」に形を変えた。
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迎と待ち合わせなんかしなければよかった。私がこの映画を見たいなんて言わなきゃよかった。たらればが何個も脳内に浮かんで、消えてくれない。
車道からはみ出た車が、私を庇った迎にぶつかった。その衝撃で迎が跳ね上がった瞬間に、私の呼吸が止まる。
慌てて迎に駆け寄れば、迎は私を安心させるように微笑む。痛いはずなのに。
「迎!」
微笑んだまま、口元が「大丈夫」と動く。声も出せないくらい、大丈夫じゃないくせに。私を安心させようと、私の頭を撫でるから……本当に大丈夫って信じたくなって、でも、わかってた。大丈夫じゃないこと。
「迎、ね、待って、お願いひとりにしないで。大丈夫なんだよね、本当に大丈夫なんだよね」
何度も「大丈夫」と唇を動かす迎に、胸が痛む。私より迎の方が辛いはずなのに、こんな時でも私はわがままを繰り返す。
違う。私は、迎にもらった優しさを、強さを、迎にあげる。そう決めたんだから。
「大丈夫! ね、迎、大丈夫だよ! 大丈夫だからね、大好きだよ」
安心させるように口にすれば、涙が喉の奥で絡まって咳き込みそうになる。私の言葉に安堵したように迎が、いつもの笑顔で笑う。「大丈夫」と動かしていた唇は「大好き」に形を変えた。
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