その言葉を聞いて最初は何のことかわからないと思ったのだが、数秒してコルネリアは彼の言葉に納得した。
 コルネリアの視線の先には大きめの窓があり、その窓の向こう側には日が沈んでいくのが見える。

 そう、今日は新月の日だったのだ──

 コルネリアは全てを理解してレオンハルトの袖をちょんとつまむと、大丈夫ですよ、と声をかけた。

「──っ!!」

 彼女らしい控えめな様子での意思表示と、身長のせいで自然となってしまっている上目遣いがレオンハルトの心にグサッと突き刺さる。
 それはもうドキッとするレベルではなく、呼吸が乱れ始め、そしてかなりめまいが起こりそうなほど。
 彼にはそれほど大きな攻撃となって、容赦なく彼の心を揺さぶっていた。

 さらにコルネリアはそのままレオンハルトの裾を引っ張ると、ベッドのほうへと彼を引き寄せる。

「……え?」

 彼女はなんのためらいもなくレオンハルトをベッドに押し倒す。
 枕にうまくピタッと収まったレオンハルトの頭、そして横たわった自分のすぐ横に膝でベッドに乗る妻の姿。

「コルネリア、その、あまりにも大胆になったんだね」