ふわっと柔らかなシルバーの髪が揺らめき、そして一際輝く一級品のサファイアのような瞳が、コルネリアの胸を打つ。
 と同時に、毎日父親であるルセック伯爵に殴られ蹴られ、そして冷たい床で転がったことでできた傷や痣が、自分の自尊心を傷つけて負い目を感じさせる。
 そんな思いからもう癖になっていた俯くという行動をする彼女を見て、公爵はコルネリアの複雑な気持ちをくみ取った。

「さあ、お風呂に入ってゆっくりお休み」

 自分はそんなことをしていい身なのだろうか、お世話になっていいのだろうか、と虚ろな目を彼に向けると彼はそのままゆっくりと頷いた。



◇◆◇



 体力的にも精神的にも相当疲労を重ねてしまっていたコルネリアは、ヴァイス公爵家に来てから丸三日眠り続けた。
 その間じっと回復して目が覚めるのを待つ公爵は、仕事の合間に彼女の部屋を訪れてはその綺麗なピンク色の髪を撫でた──

 彼女の目が覚めた、との報告を側近から聞くと、仕事を片付けて急いで彼女の部屋へと向かう。

「具合はどうだい?」
「公爵様……」