「おかえり、コルネリア」


 首をかしげるコルネリアの様子を見てそっと頭を撫でると、彼は言う。

「覚えていないのも無理ないね。あの時君は2歳になったばかりだったから」
「2歳……」
「ああ、ゆっくり話すよ。まずはこちらにおいで」

 そう言って優しく手を差し伸べる彼の手に自らの手を添えようとするが、幽閉されて体力のないコルネリアは身体を支えられずにふらりと倒れる。
 地面に叩きつけられるかと覚悟したコルネリアだったが、いつまでも経ってもその時は訪れない。
 ようやく自分が手を差し伸べてくれた彼に支えられる形で、抱き留められているということに気づくと、申し訳なさからすくりと立って謝罪してしまう。

「公爵様、申し訳ございません」
「大丈夫かい? ひとまず中で一度ゆっくり寝るといい。それにそんなに怖がらなくていい」

 公爵はコルネリアの顔を少し覗き込みながら彼女の顔色を窺い、そんな彼女が安心するようにと微笑みかけた。