「なんでしょうか、なんとなく嫌な気配と言いますか。病気とはまた違う何か悪いものの気配を感じます」

 コルネリアは目を細めてレオンハルトを凝視する。
 どうやら彼女には何か確かなものが視えているわけではなく、なんとなくふわっと嫌な気配がレオンハルトから感じるのだという。
 それが呪いの類なのか、そして聖女だったからこそ感じるのか、まではわからない。
 ただ、コルネリアは彼のそんな姿を見たときからずーっと心の中で思っていたことを遠慮がちに言った。

「あの……大変不謹慎なのですが……」
「なんだい?」
「その、えっと、なんといいますか……」

 コルネリアは少し言いにくそうに顔を逸らすと、今度は覚悟を決めたようにレオンハルトに告げた。

「レオンハルト様、可愛いです」
「は……?」
「小さなレオンハルト様、可愛くて可愛くて、その、あの、頭撫でてもいいですか?」
「はっ?!」

 すると、答えも聞かずコルネリアは我慢できないというようにレオンハルトの小さな頭をなでなでする。
 彼の髪はふわっと柔らかく、触り心地がいい。