レオンハルトとコルネリアの離婚危機が過ぎ去り、再びヴァイス公爵家に平穏が訪れた。
 コルネリアはあれからというもの自分の感情の回復に一種の戸惑いを覚えており、それは彼女の中でむず痒く、彼女から落ち着きというものを奪った。
 今日はレオンハルトの仕事が珍しく休みなこともあって、二人はランチの後にアフタヌーンティーを楽しんでいる。

「ここの暮らしにはもう慣れたかい?」
「はい、おかげさまで」
「そうか、何か不自由なことがあればいつでも言ってほしい」
「かしこまりました」

 まだどこかかたい印象を受けるコルネリアの返事だが、着実に以前よりは表情も声色も柔らかくなっており、それを見てレオンハルトは少し安心した。
 返事をしながらサンドウィッチを食べたそうに彼女の手が宙をうろうろしている様子をみたレオンハルトは、自らの手でサンドウィッチを取ってそのまま手渡す。
 遠慮もしなくていいし、そのままこうして食べれば大丈夫だよ、といったように、自分の口元に入れる素振りを見せてコルネリアに伝える。