コルネリアが家に来たことで、伯爵は医師よりも莫大な金で治療を請け負うようになった。
 さらにコルネリアに浄化させた水を「聖水」としてこれまた金で売っていたのだ。
 ルセック伯爵家のもとには、多くの金を持った貴族が集まり彼女の力を頼った。
 結果、ルセック伯爵家は莫大な富を得たわけだが、コルネリアが突如聖女の力を失ってしまったがゆえに伯爵家は困る。

 なんとか伯爵は、今日は聖水は売り切れてしまったやら、治療の予約がいっぱいだとか言い逃れを繰り返してごまかしていた。
 それと同時に聖女の力を早く出すようにとコルネリアに迫るが、彼女は4歳になっても5歳になっても力を出せなかった。

 しびれを切らした伯爵は彼女を虐待するようになり、そしてついに地下牢に入れて幽閉してしまった。


 こうしてコルネリアは5歳から今まで地下牢で過ごすことになったのだ。
 それは彼女にとって生まれてから覚えた感情を日々失っていくことになった。

 そしてコルネリアの感情は欠け落ちてしまった──



◇◆◇



 そんないつもの幽閉される日々は突然終わりを迎えた。

「おいっ!」
「なんでしょうか」