「あなたが嫁ぐと知って、怖くなった。あなたを失うのが……」

 普段口数の少ない彼が、饒舌に話す。
 それにどこか焦っているようで、それにぎこちない。

「あなたには俺は相応しくないと思っていました。俺ではあなたを守ることができないかもしれないのではないかと」
「リュディー」
「それでもあなたが俺の頬を触って、俺の傷を心配してくれた時から、ずっとあなたのことを慕っていました」

(頬の傷……あの日のこと……)

「全てを投げ出してでもあなたを手に入れたいと思ってしまった。俺のものにしたいと」

 背中から感じる温かさと鼓動の速さに、クリスティーナは頬を染める。

(リュディーが私を、好き……?)

「俺は、あなたが好きです」
「──っ!!!」


 あの時から、一目見たあの時から聞きたかった言葉が今紡がれている。

(そんなの、ずるい……だって……だって……)

 クリスティーナは振り返ると、彼の首元に自分の腕を回した。

「大好きっ! リュディーっ!! 私もあなたが好き!!」
「クリスティーナ様……」
「私を奪って。どこへでも連れて行って。あなたのものにして」