クリスティーナは十秒のカウントと同時に彼に背中を押されて走り、レオンハルトとコルネリアのもとに走った。

「コルネリアっ!!」
「クリスティーナ様っ!!」

 抱き留めたコルネリアと、二人を守るようにして戦うレオンハルト。
 リュディーとレオンハルト──
 三年ぶりの共闘は、大事な人を守る戦いとなった。


 クリスティーナはリュディーに付き添われて王宮の自室だった場所に戻っていた。

「まさか、リスト様がミストラル国だけじゃなくうちを侵略しようとしていたやつだったなんて」
「申し訳ございません。クリスティーナ様を危険に晒してしまいまして」
「ううん。大丈夫。助けてくれたもの。レオンハルトも、コルネリアも、それに、あなたも」

 クリスティーナはそっとリュディーに近づき、頬を触った。

「傷……」
「大丈夫です。かすり傷ですから」
「待って。確かこっちに緊急の医療セットがあったはずだか……っ!!!!!」

 クリスティーナの言葉は強く抱きしめられた衝撃で途切れた。

「リュディー!?」
「嫌ですか?」
「え?」

 彼の吐息が耳元に直接あたって刺激する。