(全く、昔はあんなに寂しがり屋だったのに、あんなに強くなって……)

「──っ!! 王女殿下っ!!」

 騎士団長がこちらに気づいて跪くと、周りにいた騎士団の者たちも一斉に跪く。
 同じように跪くレオンハルトの元に近づいて、そっと肩を叩いた。

「あなたはいいわよ」
「いえ、王女殿下ですので」
「もう、変なの。それより、あなたさっき怪我していたわよね、大丈夫?」

 そう言ってレオンハルトの横にいた彼に、クリスティーナは声をかけた。

「はい、問題ございません。お気遣い恐悦至極に存じます」
「そう……」

 頭をあげることなく彼女に返答するその様子に少し寂しさを覚え、子供なりにおもしろくなさも感じたのか、彼の傷ついた頬に手をやる。

「──っ!!」

 びくりと肩を揺らしてあげられた彼のシルバーの髪から覗いたその瞳に、彼女は吸い込まれそうになった。
 自分の髪を同じ金色の瞳をした彼は、端正な顔立ちで神々しささえ感じるほど。

(なんて綺麗な瞳なの……)

 思わず見惚れてしまったことに自分自身驚いてすぐに目を逸らした。

「あとでしっかり傷、治してね」