「お久しぶりですねっ! ローマン」

 その声を聞き、布を被った男は可動橋をゆっくりと渡ってこちらにやってくる。
 そのローブを取ると、顔にやけどを負った姿が露わになる。

「お元気でしたか? ローマン」
「ああ、お前もまだ生きているんだな」
「呪いは解けましたよ。残念ながら」
「そうか……やっぱりあんたの女はろくなやつがいねえ。三年前の女も、そこにいる女も」

 侮辱されたことでレオンハルトは拳を握り締めて、彼を殴りつけた。
 騎士団長だった頃に培った強さもあるが、なによりもはや身体の自由がほとんど利かなくなっていたローマンはその俊敏な攻撃を避けることができなかった。

「お前のその汚い口で、俺の大事な人たちを呼ぶな」
「ふん、相変わらず手が早いね」
「黙れ」

 港に到着した王国騎士団たちがローマンを取り囲み、捕縛する。

「お前はおとなしく獄で罪を償え」
「ふん、俺も終わりか」

 いけるとおもったんだけどな、と呟きながら兵士たちに連れていかれる。

「さあ、ローマンも引き渡していただきましたし。あなたもそろそろ自分のお国に戻られては」