「さあ、話を戻しましょうか。あなたは我が国の王女殿下と婚姻を結び、ミストラル国の第一王子より優位に立とうとした。そればかりか、王女殿下のパイプを使って我が国への侵略を考えていましたね?」

 その言葉を聞き、クリスティーナが口元に手を当てて驚く。
 まさか自分の婚約の裏にそんな陰謀が隠されていたことに、立っていられなくなるほどに息苦しさを感じる。
 大丈夫ですか、とコルネリアはクリスティーナの身体をなんとか支えた。

「ええ、大丈夫。ありがとう」

 目を逸らせない、王女としてこの事実を受け止めると決心した彼女は、もう一度自分の足でしっかりと立って彼らを見守った。

「ふん、そんな証拠がどこに……」
「あなたの部下は武力は優秀でしたが、頭の方はあまり、のようですね」

 にやりと笑ってちらりとリストの少し後ろに控えた側近を見遣ると、ぎくりとした表情で目を逸らす。
 事実、彼は口が軽く、酒に酔うと誰彼構わずに機密情報を漏らしていた。
 リュディーが酒場に潜入して数日張り込んだところ、やはり彼は第二王子が描く陰謀を口走ったのだ。

「部下に恵まれませんしたね。あなたは」