「あ、コルネリア様、申し訳ございません!! 私、食後にと思っていた紅茶をすでにいれてしまっていたようで、冷めてしまいましたっ!! すぐに入れ直してきます!」

 わざわざそこまでしなくても飲めますよ、とコルネリアは彼女に言おうとしたのだが、彼女が去っていくスピードに追いつけないほどの慌てぶりで部屋を去っていく。
 そしてその後すぐに廊下から、ガッシャンと何か皿が割れたような音がしてコルネリアは思わず顔を上げた。
 ────どうやら本日三枚目の皿を割ったようであった。


 そんな甲斐甲斐しくもどこか危なっかしいテレーゼに世話をされていたコルネリアだったが、だいぶ動けるようになったため何か自分自身のことはできないかと部屋をうろうろとしてみる。
 しかし、掃除や洗濯などの家事をおこなったことのない彼女にはどうすることもできずに立ち尽くしてしまう。

「コルネリア様? もう起きて大丈夫ですか?」
「はい、何かお手伝いをしようと思うのですが、何もできなくてどうしようかと」
「そんなっ!! 奥様にそのようなことはさせられませんっ!! わたくしどもにお任せくださいませ!!」