恋心ではないにしろ、親戚として、そして幼馴染として深い愛があることが感じられる。
 そんな関係が微笑ましくもあり、同時に羨ましくも思えた。

(私にはそんな存在いない……)

 少し俯いた彼女の手にそっと優しく大きな手が添えられる。

「レオンハルト様……」
「私がいる。コルネリアには私がついている」

 なぜこの人は自分の欲しいと思う言葉をくれるのだろうか。
 心の中でそう呟いた彼女は、もう一つの手を彼の手に重ねて嬉しそうに微笑んだ。

(私も、彼のためになりたい。だから……)

 彼女は覚悟を決めてある場所に向かうことにした──



 穏やかな風が吹く丘の上に立つ教会の前に、彼女は立っていた。

(私は、私のこの力を知らなければいけない。そして、レオンハルト様の呪いを解く)

 コルネリアは教会の礼拝堂の扉をゆっくりと開ける。
 そこには祈りを捧げるシスター長の姿があった。
 ゆっくりとシスター長のもとに歩いていくと、耳が遠くなった彼女は数mにコルネリアが近づいたところで振り返った。

「おや、今日は孤児院に来てくれる日じゃないと聞いているのだけれど」