目をわずかに潤ませながらレオンハルトと目を合わせようとしない彼女に、彼は目の前に跪いた。

「──っ! レオンハルト様……」
「コルネリア、もう一度言わせてほしい。あの時は『好きかもしれない』と言ったけど、今は違う。コルネリアが好きだ」

(レオンハルト様……!)

 ルセック伯爵家から身請けした時に言った言葉──
 コルネリアに差し出された優しい手が少し震えている。

「本能的に求めてしまうんじゃない。今はもう君を真っ直ぐに見ている。本能じゃない。確かな僕の意思で君を求めている。好きで好きでたまらない。……もう一度、僕の傍で笑ってくれませんか?」

 その真っすぐで清らかな言葉の一つ一つが、コルネリアの心の中でくすぶっていた暗く重い心を溶かしていく。

(ああ、私はなんてバカなんだろう……。そうだ、こんなにレオンハルト様が真っすぐに愛を伝えてくださっている。それを拒否しているのは私。苦しめているのは私だ……)

 コルネリアはそう気づき、レオンハルトの頬に優しく自らの手を添えた。

「コルネリア……」

 目をつぶってなんとも愛おしそうに、その手に自らの手を重ねる。