目の前にいる自分の意識の中では数日前に会ったばかりの彼が、こうしてあたたかく優しい好意を向けてくれることに彼女はどう応えていいか戸惑った。
 その戸惑いをなんとなく感じたレオンハルトは、彼女に「妻を受け入れるのはゆっくりでいいから。いつまでも待つから」と言う。
 ベッドに寝る彼女は自分の手を握る彼を見ながら、もう聖女の力を失ってしまった自分に何の価値があって、彼は自分に何を求めるのだろうか、とふと思いを馳せた。


 コルネリアはこの時、自分が力を失くしてしまった理由をまだ知らない──