「ああ、聖女としての力も申し分ないし、きっと我が家に幸福をもたらしてくれるだろう」

 そうしてこの2歳の聖女は引き取られた。

 コルネリアは傷の治療に加えて、泥水を浄化したり、伯爵が当時患っていた肺の病も治してしまった。
 彼女は「天才だ!」「素晴らしい!」と大事にされ、伯爵夫妻にそれはそれは可愛がられることになる。

 しかしある日、無情にもその愛は終わりを迎える。

「なんでできないんだ!!!」
「ごめんなさい……おとうさま、できないんです」
「そんなわけないだろっ!! 早く浄化しろっ!」
「できないの……」
「このっ!!!」

 コルネリアは伯爵からぶたれてその場に倒れ込む。
 頬を触ると赤く腫れて痛いという感情が彼女を襲う──

 なぜかコルネリアが3歳になった頃、突如として聖女の力が発揮できなくなった。
 そのことに焦りを覚えた伯爵は彼女を毎日殴ったり、何度も無理矢理泥水を浄化させようと水に彼女の顔を沈めたりもした。
 伯爵がここまでコルネリアの聖女の力を発揮させようとしていたのには、ある理由があった。