三年前のシュヴェール騎士団討伐作戦での人質事件──
レオンハルトの婚約者だからとクラリッサは狙われ、そのまま誘拐された。
「後でリュディーに彼女が死んだ瞬間のことを全て聞いた。僕が逆の立場でもそうしただろう。後悔した。彼女と婚約をしなければ、彼女は死なずに済んだ。それ以来、私はもう人の死が怖くなった」
「それで騎士団長を……?」
「ああ、辞めたんだ。リュディーを負傷させたのも私の責任だ。ローマンを取り逃したのも」
レオンハルトは自分を責めるようにその場に頭を抱えてうずくまった。
苦しそうなうめき声と嗚咽の混じった後悔の声が聞こえた。
コルネリアにはかける言葉もなかった。
自分が恥ずかしくなった。
彼女は自分だけが虐げられて育ち、他人よりも辛い思いをして生きてきたとどこかで悲劇のヒロインぶっていたような気がした。
そんな自分を軽蔑して、そして愛する人の過去を知って怖くなった。
(こんなの、私には勝てない……)
嫉妬でドロドロになったこの心を見せたくもない、触らせたくもない。
ただ、彼に軽蔑されたくないと思った。
レオンハルトの婚約者だからとクラリッサは狙われ、そのまま誘拐された。
「後でリュディーに彼女が死んだ瞬間のことを全て聞いた。僕が逆の立場でもそうしただろう。後悔した。彼女と婚約をしなければ、彼女は死なずに済んだ。それ以来、私はもう人の死が怖くなった」
「それで騎士団長を……?」
「ああ、辞めたんだ。リュディーを負傷させたのも私の責任だ。ローマンを取り逃したのも」
レオンハルトは自分を責めるようにその場に頭を抱えてうずくまった。
苦しそうなうめき声と嗚咽の混じった後悔の声が聞こえた。
コルネリアにはかける言葉もなかった。
自分が恥ずかしくなった。
彼女は自分だけが虐げられて育ち、他人よりも辛い思いをして生きてきたとどこかで悲劇のヒロインぶっていたような気がした。
そんな自分を軽蔑して、そして愛する人の過去を知って怖くなった。
(こんなの、私には勝てない……)
嫉妬でドロドロになったこの心を見せたくもない、触らせたくもない。
ただ、彼に軽蔑されたくないと思った。