そこまで話し終えると、レオンハルトはベッドの上で横になるコルネリアの頭を優しくなでる。

「生きていてくれてよかった。まずはそう思ったよ」
「私のことをどうしてそんなに」
「なぜだろうね。その時はわからなかった。婚約者選びに疲れたとか、ふと君のことを知って善意から救いたくなったとか。いろいろ考えた」

 レオンハルトの言葉に対して、そうだ、自分にはそんな程度の価値しかないし当たり前だというような思いでコルネリアは耳を傾けていた。
 だって、こんな公爵で何不自由なく、そして見目麗しい方が自分を選んで妻にするなど、何か気が狂ったのではないだろうかとさえ思う。
 しかしその後に続いた言葉は彼女にとっても意外な言葉だった。

「好きなのかもしれない、君のことが」
「え?」
「君がなんだか気になって、そう、本能的に求めてしまう。そんな存在だから。だから、僕は君を引き取って妻にした」

 なぜそんな真っすぐに私を見つめてくるのだろうか、とコルネリアは心の中でそう思った。