そして、口を開いてこう告げる。

「3年前にシュヴェール騎士団討伐作戦が繰り広げられたの。その責任者だったのが、レオンハルト」
「──っ!」
「当時はレオンハルトが王国騎士団の騎士長で、リュディーが副長だった。歴代最高の強さと権威を誇っていて、ローマンをついに追い詰めたの」

 「あと一歩のところまで……」と小さな声で呟いて唇を噛みしめたクリスティーナは、スカートの裾を握り締めて悔しさをにじませながら続けた。

「ローマンは追い詰められて卑怯にも一人の人質をとって逃走した。それで王国騎士団は迂闊に手出しできなくなった」
「それで……それでどうなったのですか?」
「ローマンと数人の幹部以外は捕縛できたわ。彼らも深手を負って引き下がった」

 クリスティーナは悲しい表情をやめず、その目には涙を浮かべていた。
 コルネリアはそっと彼女の背中をさすると、「ありがとう」と返事をされる。

「では、作戦は成功したのですね」
「ローマンももう剣を握れないほどの傷を負って、シュヴェール騎士団の脅威は過ぎ去ったわ」
「レオンハルト様たちも無事に?」