夕食の準備のためにダイニングにいた彼女の耳に、次第に主人たちの声が大きく入って来る。
「33分も遅いです」
「どうしても終わらなかったんだって!」
ダイニングに入室してそれぞれの席につきながら、まだ口論を続ける二人を見つめるテレーゼは、ようやく内容を理解してきた。
(ああ、なるほど……。コルネリア様が言っていた約束の件ですね)
何者かの呪いで身体を蝕まれたレオンハルトは、まだ身体が完全に回復しているとは言い難かった。
しかし、眠っていた間の仕事が溜まっているからと、目を覚ました翌日から自宅で仕事を始めてしまったのだ。
それを知ったコルネリアが、夫の執務室に突撃してある約束をした。
『絶対に19時には仕事を終えること』
『食事は必ず一緒に食べること』
レオンハルトはこの約束を受け入れて午後から仕事をしたのだが、仕事が終わったのは19時33分。
夫婦で交わした初めての約束は、脆くも初日に破られてしまったのだ。
「…………」
「お願いだから機嫌直してよ、コルネリア」
「…………」
「33分も遅いです」
「どうしても終わらなかったんだって!」
ダイニングに入室してそれぞれの席につきながら、まだ口論を続ける二人を見つめるテレーゼは、ようやく内容を理解してきた。
(ああ、なるほど……。コルネリア様が言っていた約束の件ですね)
何者かの呪いで身体を蝕まれたレオンハルトは、まだ身体が完全に回復しているとは言い難かった。
しかし、眠っていた間の仕事が溜まっているからと、目を覚ました翌日から自宅で仕事を始めてしまったのだ。
それを知ったコルネリアが、夫の執務室に突撃してある約束をした。
『絶対に19時には仕事を終えること』
『食事は必ず一緒に食べること』
レオンハルトはこの約束を受け入れて午後から仕事をしたのだが、仕事が終わったのは19時33分。
夫婦で交わした初めての約束は、脆くも初日に破られてしまったのだ。
「…………」
「お願いだから機嫌直してよ、コルネリア」
「…………」