そんな光景は見慣れたというような感じでメイドたちも、ふふふと口元に手を当てて笑いながら見ている。
 ただ、彼の中で今回ばかりはすでにコルネリアの行方のほうに考えが向かっていたようで、話を早々に切り上げるとそのまま家に引き返した。



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 家に着いたレオンハルトは早速ペンを執り、ルセック伯爵宛の手紙を書き始めた。
 もちろん彼女がどうしているのか、元気にしているのか、と聞こうとしたが、そう思ったところで、そういえば伯爵家でなんでも治す医者いらずの不思議な事業をしているというきな臭い噂を聞いたことがあることを思い出した。
 確かうちにいたメイドが廊下で噂話のようにしていた、なんてことを思い出す。

(治癒の力?)

 病気を癒す不思議な少女の話や「聖水」と言ってご利益や不思議な力のある水を売っていたとかなんとか。
 そんなふわっとした噂の内容を自分の記憶から必死に手繰り寄せるが、真偽のほどがわからなかったためひとまず「コルネリアに会いたい」ということだけ伝えた。


 数日後に手紙の返信が来たのだが、そこにはレオンハルトが予想もしていなかった言葉が書かれていた。