「王妃様が事情を聞いてなだめたんだけど、それからね、王族に近しい者は皆、彼の事を泣き虫レオちゃんと呼んでたわ」

 ああ、ダンスパーティーで言われてた異名はそこからだったのか、コルネリアは納得した。

「まあ、もうそれで落ち込んで落ち込んで仕方なかったのは、お父様なんだけどね」

 国王はただ単に彼に怪我をさせまいとそうした対応をしたのだが、その愛情が裏目に出てしまい、数日間落ち込んで仕事にならなかったそうだ。
 その後、泣き虫レオちゃんと呼ばれたレオンハルトは、心の中で国王のことを「悪の大王」とこっそり呼んでいた。

「でもまあ、嫉妬するくらいお父様はレオンハルトのことを気に入っているのよ」
「ええ、私もそんな風に感じました」

 レオンハルトの過去、そして国王の話を聞き、コルネリアはなんとも心の中がほんわかしたのだった──