「そんな非情で人間の温かみの欠片もない仕打ちしかできないお前は、不倫をされても自業自得だ。勝手にしなさい」
「そんな……!」

 ミレットはよほど驚いたのか、まさか自分に矛先が向けられると思っていなかったのか、泣いて叫ぶもチャール伯爵は取り合わない。
 そして最後に、といった様子でチャール伯爵は懐から封筒を取り出すと、ルセック伯爵の前に置く。

「さあ、私から言いたいことはこれで終わった。あとはその招待状を持って王宮に向かうといい」

 呆然とするルセック伯爵の代わりに、その封筒を乱暴に開けると、中に書いてある文章をみてミレットは血の気が引く。

「ヴァイス公爵からの、招集命令……」

 彼の呼び出し……つまりは王族からの呼び出しを受けて、二人ともその場に座って動けなくなった。
 裁きの時が近づいていた──